パキスタンは、約1億5,000万人の人口を有し、インド、イラン、アフガニスタンおよび中国と国境を接する地政学的にも重要な位置を占める南西アジアの主要な国家の一つである。また、現在は、国際的なテロとの闘いや大量破壊兵器などの不拡散をめぐる同国の取組にも、国際的な関心が高まっている。
　近年、ムシャラフ大統領のカシミール問題を含むインドとの関係改善に取り組む姿勢や、対テロ協力と大量破壊兵器の拡散問題をめぐって米国などと協調を図る姿勢に対する国内外のイスラム過激派などからの反発も見られ、03（平成15）年12月には、同大統領を狙った2回の暗殺未遂事件が発生した。また、昨年12月には、ブット元首相が暗殺されるなど、文民大統領として2期目に入ったムシャラフ政権は深刻なテロ攻撃などの脅威に直面している。
　今後、国際的なテロとの闘いや大量破壊兵器の不拡散への取組を進め、また、南アジア地域の安定を図る上でも、パキスタン国内の安定は非常に重要な問題である。