第I部 わが国を取り巻く安全保障環境 

3 復興に向けたイラク政府および国際社会の取組


 イラク情勢の打開のためには、治安対策のみならず、イラク政府による自発的な国民融和促進のための政治的努力も重要である。本年1月、イラク国民議会は、03(平成15)年以降公職を追放された旧バアス党員などの公職復帰を可能とする「責任と公正」法案などの重要法案を採択するなど、漸くイラクの国民和解達成に向けた重要な進展をみせるようになった。
 また、各国も、部隊派遣や二国間および多国間の支援などを通じてイラクの復興に協力している。米国などは、05(同17)年より、軍および文民からなる地方復興チーム(PRT:Provincial Reconstruction Team)を展開し、イラク地方政府の支援などを行っている。米国は、このような軍事・非軍事部門の連携をさらに重視する中、PRTの数を増加させてきており、現在では、米国などによるPRTはイラクの全県において活動している。国連も、国連イラク支援ミッション(UNAMI:United Nations Assistance Mission for Iraq)などを通じ、復興、開発および人道支援の調整などを行っている。
 
共同作戦について協議する米軍およびイラク軍将校〔米国防省〕

 昨年5月には、イラク政府と国際社会との新たなパートナーシップを構築するための国際的枠組みであるイラク・コンパクトが策定された。このイラク・コンパクトにおいては、イラク政府と国際社会による政治、治安、経済復興の各分野における今後5年間の共通の政策目標と、目標の達成に向けてとるべき手段が定められている。

 

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