2 イラクにおける多国籍軍の動向
本年5月の時点で、イラク国内には、約15万人の米軍を含め、26か国の部隊などが展開し、治安対策や復興支援に当たっている。多国籍軍の活動に関する基本的な考え方は、イラク治安部隊が単独で治安維持活動を実施できるようになるまで多国籍軍の任務は必要であるというものである
1。したがって、多国籍軍は、イラクに対する関与は無期限ではないとしつつも、活動を終了させる時期をあらかじめ設定することはできないとしている。総じていえば、イラク治安部隊の能力は向上しつつあるものの、同部隊が単独でイラクの治安と安定を維持できるようになるには、もうしばらく時間を要するとされている。
他方、地域別に見ると、イラク治安部隊の能力向上や現地の情勢の改善などが進展した地域においては、多国籍軍からイラク当局への治安権限移譲も進んでいる。陸上自衛隊が人道復興支援活動などを実施していたイラク南東部のムサンナー県を皮切りに、これまで10県において治安権限が移譲された。
(図表I-1-3-1参照)