第III部 わが国の防衛のための諸施策 

(VOICE)通訳業務などで活躍する事務官

防衛政策局防衛政策課 吉田郁夫(よしだいくお)
 
在グアム米軍関係者との会議における通訳を行う吉田事務官(左奥)

 私は、内部部局防衛政策課で、主に、米国との調整と通訳業務を担当しています。平成14年4月に入省し、航空幕僚監部を経て18年8月より、現在の所属になりました。
 私の携わっている業務は、在京米国大使館との調整業務や、在日米軍とのミーティング、海外からの高官が防衛省関係者を表敬訪問などする際の、通訳業務や事前の調整業務です。
 通訳業務では、毎回勉強不足を痛感します。通訳をするには、語学力はもちろんのことですが、さまざまな知識や情報が必要になります。日常の英会話だけでなく、特に防衛に関する深い知識が必要で、毎日が「学校では学べない英語」の発見の連続です。入省当時は、専門用語の知識に特に乏しく、航空自衛隊で使われる「SAM」、「CAP」、「ドッグファイト」という言葉を聞いても「サム(男性の名)」、「帽子」、「犬のけんか」としか思いつきませんでした。(実際は、全く違います。)現在の職場では、さまざまな会議に参加することもあり、無数に存在する防衛関連の略語と、日本側・外国側の独特な話し方にも時々悩まされながら、毎日少しずつ良くなっていくようにと思いながら勤務しています。
 調整業務では、接遇面で米側の担当者とのやりとりがありますが、お互いに助け合いながら業務を行っています。ときには、先方の考え方や文化の違いなどにも直面することもあります。しかし、表敬訪問などが無事に終わり、訪問される方々に満足していただいたときは充実感があります。業務を通じて英語を使う頻度が多く、自分の語学力を研鑽できる職場という非常に恵まれた環境で勤務でき、いつも幸せに思っています。
 私自身、6年前まで学生をしていて、入省する以前は、防衛省・自衛隊の業務について知識は皆無で、防衛に関する問題についても全く興味がありませんでした。日本の平和は「普通で当たり前のもの」、「日本は何もしなくても、もともと平和な国」というふうにも考えていました。しかし、入省して以来、通訳者としての立場から、日本と外国との間のさまざまな防衛分野に関する意見交換に参加しましたが、私たちが毎日、当たり前のように享受している平和な環境の裏では、日本の平和を守っていこうという熱い気持ちをもった目に見えない人々の努力があることが分かりました。
 最近は、海外に滞在された経験のある方、語学の得意な方も多いと思いますが、入省を考えられている方々には、是非、皆さんの海外で培ったその経験と語学力を、今後益々国際交流が進む防衛省・自衛隊で活かしていただきたいと思います。

 

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