第III部 わが国の防衛のための諸施策 

(VOICE)予備自衛官の声:日米共同指揮所演習に参加して

予備2等陸曹 冨田 葵(とみたあおい)
 
日米共同指揮所演習(ハワイ)において通訳にあたる技能公募予備自衛官(冨田予備2等陸曹(写真中央))

 学生時代に通訳に憧れていた私は、自衛隊地方協力本部からのすすめで、平成15年に技能公募(語学)の予備自衛官になりました。予備自衛官の訓練を通じて、制服・半長靴の着用法や部隊行動、自衛隊用語には徐々に慣れましたが、肝心の通訳経験がないため、有事の際の職務遂行に不安を感じていた折、昨年7月米国ハワイ州での日米共同方面隊指揮所演習に参加する機会を得ました。
 ハワイでの初任務は、米軍高官に対する表敬訪問と国立墓地への献花の際の通訳でした。軍事用語に不慣れな私でしたが、周囲協力と事前の打ち合わせのかいもあり、表敬訪問は、何とか無事に終えることができました。その後、献花を終えてから墓地内を案内して頂きました。埋葬されている第二次世界大戦や朝鮮戦争の戦没者にまつわるエピソードなどの説明をうけたのですが、通訳するとなると、軍事用語がほとんど無かったにも関わらず、思うように通訳できずに自分の力量不足を痛感することとなりました。宿泊先に戻り、ベテラン通訳の方に通訳用ノートを見せていただき、メモ取り方法など、通訳を行う際のコツについて教えてもらい、スムーズな通訳を行うためには、独自の技法の鍛錬が必要だと再認識しました。
 翌日からは、演習司令部の各部署に配属されて通訳を行いました。私は、民事・法務・警務・衛生などの計画を作成する部署に配属されました。会話の内容・用語がともに専門性の高いものであり、また、毎回訳す分野が異なることから、はじめは、訳を訂正してもらったり、通訳を代わってもらったりとさんざんな状況でした。しかし専門用語の意味などについての説明を受け、不明な点を一つひとつ確認しながら、語彙を増やしたり、会話の途中で訳すための時間を作ってもらうなどして、徐々に通訳の幅を広げることができました。この体験から、専門用語の幅広い知識が必要であることを強く感じました。
 これらの貴重な経験を今後も活かし、微力ながらもわが国および国際社会の平和の一端を担っていきたいと思います。

 

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