第III部 わが国の防衛のための諸施策 

(VOICE)国連兵力引き離し監視隊(UNDOF)で勤務している隊員の声

第23次ゴラン高原派遣輸送隊 2等陸曹 工藤直也(くどうなおや)
 
UNDOFファウアール宿営地(シリア)で業務調整中の工藤2等陸曹

 私は、シリアに所在するファウアール宿営地において、分遣班補給兼衛生陸曹として勤務しています。
 勤務内容は主に駐屯地の燃料、糧食納品検査、外来調整(宿泊調整)、そして日本隊の補給品などの管理および隊員の健康管理や救護をすることです。現在一番大変だと感じていることは、業務中の会話です。他国の軍人と調整するために必要な英会話はもちろんのこと、私の主業務とも言える燃料受領では簡単なアラビア語会話を必要とします。現地のシリア人業者はほとんどの人がアラビア語しか話しません。毎日、身振り手振りを加えてのコミュニケーション図っていますが、時にはジェスチャーでもコミュニケーションが取れず、指定された時間に燃料や物品が到着しなかったり、現地でよく使われる「シュワイ、シュワイ(まぁまぁ)」という手を萎(すぼ)めたジェスチャーで燃料の量をごまかされそうになったりと、悩まされることが多々あります。しかし、同僚隊員の助けのおかげもあり、何とか任務を果たすことが出来ています。
 今の勤務を通じて、人というのは言葉やジェスチャーが通じなくても、気持ちは不思議と伝わることが分かりました。私たちは、シリアとイスラエルの平和のため、世界の平和のため、ひいては日本の平和のために今ここで勤務しています。われわれの平和を願う気持ちも、きっと現地の人々に伝わっているものと信じています。
 ここでの勤務はさまざまな苦楽はありますが、世界の舞台で活躍することができ、とても充実した毎日を送っています。今後も、わが国および国際社会の平和のために、一生懸命がんばっていきたいと思います。

 

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