第III部 わが国の防衛のための諸施策 

(VOICE)イラク人道復興支援活動に従事した隊員の声

イラク後送業務隊クウェート後送隊 2等陸佐 望月浩之(もちづきひろゆき)(現所属:中央輸送業務隊)
 
クウェートにおいて麻生外相にイラク後送業務の流れを説明中の望月2等陸佐

 昨年6月、2年半にわたる陸上自衛隊のイラク復興支援活動の終了を受け、我々イラク後送業務隊は“しんがり”部隊としてクウェートとサマーワへ派遣され、イラク復興支援活動で使用した車両など約200両・装備品等(約10万点)、コンテナ約600本分を日本まで後送する作戦を遂行しました。この撤収後送においては、民間輸送力を最大限に利用して現地雇用の作業員とともに、撤収作業を行いました。当初は、言葉や風俗・習慣などの違いで、作業が滞ったりしましたが、次第にコミュニケーションもとれ、現地雇用の作業員と一致団結して、最後には一つのチームとしてのまとまりができ、全ての装備品のコンテナへの積み込み、車両の洗浄が終わった時には、現場では国を問わず一体感ができたのを思い出します。
 撤収開始時期は当初、中東の暑い時期は避けると言われていましたが、撤収が開始されたのは最も暑い時期でした。日中は、連日気温50℃を超え、その暑さの中、火傷しそうなくらい熱せられた車両の洗浄作業やコンテナへの積込作業を行いました。時には凄まじい砂嵐が起こり、せっかく洗浄したばかりの車両が砂まみれというようなこともありましたが、約3か月におよぶ大規模な撤収後送作戦をやり遂げることができました。この間、過酷な環境の下での、ややもすると単調な整備・洗浄作業等でしたが、隊員一人ひとりが、「イラク復興支援活動の有終の美を飾る撤収後送作戦を成功させるんだ。」という強い意気込みのもと、過去イラク復興支援群が残してきた成果を汚さないように、決して事故を起こさないことを念頭に置き、細心の注意を払い行動しました。その結果、一件の事故・怪我もなく、この作戦を完遂できました。この撤収後送作戦に参加した全隊員は、最後を締めくくる本作戦に従事し、イラクの復興支援活動に少しでも貢献できたことに充実感を覚えるとともに、大きな自信と誇りを持ったと思います。

 

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