第III部 わが国の防衛のための諸施策 

(VOICE)イラク人道復興支援活動に従事した隊員の声

イラク人道復興支援派遣輸送航空隊飛行隊1等空尉 樋口美登里(ひぐちみどり)(現所属:第1輸送航空隊第401飛行隊)
 
4か月ぶりの再会を喜ぶ樋口1等空尉

 2歳の息子を残して、私が中東の地で任務に従事できたのは、家族の支えがあったからこそだと思います。同じ飛行隊には4回目の派遣隊員もいますが、彼らもまた、家族の支えがあってこそ、任務に従事することができているのだと思います。今回の派遣を通じて、このことを強く感じることができました。
 派遣中、私は、C-130H輸送機の副操縦士として機長を補佐し、飛行中の脅威を見つけることおよび管制機関との交信などを担当しました。クルーと共に緊張の連続でしたが、派遣前に十分な訓練を行ったおかげで、万一の事態が発生した場合にも対処できる自信はありました。
 機長は、運航クルーのリーダーとして、あらゆる状況を想定しつつ、クルー全員の安全の確保に集中しており、身体的、精神的負担は計りしれません。私は副操縦士として、その負担を少しでも軽くできればと努力しました。次の目標は、大きくなった息子からの応援と家族の支えを得ながら、クルーのリーダーである機長として、国際平和協力活動の先頭に立つことです。

 同 業務隊施設小隊2等空曹 橋口 渉(はしぐちわたる)(現所属:第3術科学校業務部施設課)
 
イラクで活動中の橋口2等空曹

 「暑っ!」これが砂漠の国の第一印象でした。イラクに派遣中の4か月間、日本では、まず体験できないことに遭遇する毎日でした。朝、太陽が昇ると外気温はぐんぐん上がり40℃を越えます。激しい砂嵐で、時には5メール先も見えない状態で、「砂漠で遭難?」という経験もしました。
 施設小隊の一員として、建物などの施設やその周辺の道路などの定期的な点検、補修、整備が私の仕事でした。事務所や宿舎など雨漏りする(!)ことなど日常茶飯事。少しの隙間などを放っておくと、たちまち部屋は砂まみれです。特に、事務所にはパソコンなどの電気製品があるため、砂が入らないようドアの隙間の点検も気が抜けません。中東の砂は、粒子がとても細かく土ぼこりのようなものです。また、必要な資材などの積み込みは、ショベルローダーやダンプがなかったため、人力や一輪車を駆使して汗だくになりながら行いました。まさに、体力勝負です。派遣前の身体検査の意味がよく分かりました。
 今回、国際貢献の最前線での任務遂行に参加でき、派遣部隊の一員としてとても充実した勤務経験を得られたと思います。チャンスがあれば、次の機会にも参加したいと思います。

 

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