第III部 わが国の防衛のための諸施策 

6 弾道ミサイル防衛(BMD)

 BMDに関しては、役割・任務・能力に関する検討でも確認されたように、日米双方が、それぞれのBMD能力の向上に応じて、緊密な連携を継続することとされた。
 弾道ミサイルに関する高い探知・追尾能力を持つ新たな米軍のBMD用移動式レーダー(AN/TPY-2:いわゆる「Xバンド・レーダー」)・システムの最適な展開地には、空自車力分屯基地(青森県)が選定された7。このレーダーにより得られるデータは日米で共有され、これによりわが国に飛来するミサイルを迎撃する能力や国民保護、被害対処のための能力が向上する。当該レーダーは、06(同18)年6月に車力分屯基地内に配備された。
 また、わが国に飛来するミサイルによる攻撃からの防衛を確実なものとするため、米軍のペトリオットPAC-3が日本における米軍施設・区域に展開され、可能な限り早い時期に運用可能となるとされた。
 これを受け、昨年9月から米軍のペトリオットPAC-3の嘉手納飛行場および嘉手納弾薬庫地区への配備が開始され、同年12月末から一部の運用が開始された。また、同年8月には、BMD能力搭載イージス艦「シャイロー」が横須賀に入港し、西太平洋地域に前方展開している。
 
米軍のBMD能力搭載イージス艦「シャイロー」[U.S. Navy]

 このように米軍のミサイル防衛能力がわが国に配備されることは、弾道ミサイル攻撃に対する防御能力が向上し、在日米軍の抑止力も維持され、わが国国民の安全の確保にもつながるものである。


 
7)昨年5月の日米合同委員会において、当該レーダーの暫定配備のため、一定の期間を限り、同分屯基地の施設の一部を米側に提供することが合意され、閣議決定された。その後、同年6月には、当該レーダーの恒久的配備のための土地等を米側に追加提供することが合意された。

 

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