2 在外邦人などの輸送態勢の整備
(1)自衛隊法の改正
防衛省・自衛隊は、これまで、外国での災害、騒乱その他の緊急事態に際して、自衛隊法第100条の8(当時)の規定に基づき、外務大臣の依頼を受けて、生命や身体の保護を必要とする在外邦人などを、政府専用機や空自の輸送機で輸送する態勢をとってきた。
99(同11)年の自衛隊法の改正により、在外邦人などの輸送手段として自衛隊の船舶とその船舶に搭載されたヘリコプターが追加され、また、隊員と邦人などの生命や身体を防護するため必要最小限の武器の使用ができるようになり、輸送のための態勢が強化された。また、多くの邦人が海外を訪問し、滞在している今日、海外での紛争などの際の在外邦人の輸送も、国民の安全確保のために重要な活動となっていることから、本年1月の省移行にあわせて、これまで付随的な業務とされていた本活動を本来任務と位置付け、自衛隊法第84条の3に規定し、その際の権限については同法第94条の5に規定した。
参照>II部3章2節
(2)各自衛隊の態勢など
派遣先国の空港・港湾などで、在外公館から在外邦人を引き継ぎ、航空機・船舶までより安全に誘導できるよう、陸自ではヘリコプター隊と誘導隊
3の要員を、海自では輸送艦をはじめとする艦艇と航空部隊を、空自では輸送機部隊および派遣要員をそれぞれ指定するなど待機態勢を維持している。
なお、在外邦人などの輸送任務は、基本的には各自衛隊が緊密に連携して行うため、統合調整が必要となることから、輸送機や輸送艦などを用いて統合訓練を実施するなど、任務遂行のための能力向上に努めてきた。