第II部 わが国の防衛政策の基本 

3 本来任務化の意義

1 従来の考え方

 自衛隊の任務については、「主たる任務」として、直接侵略および間接侵略に対しわが国を防衛するために行う防衛出動がある。自衛隊には、このほか、必要に応じて行う任務として、国民保護等派遣、治安出動、警護出動、海上における警備行動、弾道ミサイル等に対する破壊措置、災害派遣、地震防災派遣、原子力災害派遣、領空侵犯に対する措置などがあり、これらは「従たる任務」と呼ばれている。「主たる任務」と「従たる任務」を合わせたものが、自衛隊の「本来任務」である1
 自衛隊は、これまでさまざまな国際平和協力活動に参加してきた。これらの活動は、本来任務ではなく、主としてわが国の防衛のためにつちかってきた自衛隊の能力を平時に活用するとの考え方の下、自衛隊法上、第8章(雑則)あるいは附則に規定される「付随的な業務」という位置づけであった。
 また、周辺事態安全確保法に基づく活動や、機雷の除去や在外邦人等の輸送といった役割を担っているが、これらも付随的な業務とされてきた。


 
1)従来(自衛隊法改正前)の自衛隊の本来任務については、自衛隊法第3条(改正前)において「直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たる」ものとされていた。

 

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