第II部 わが国の防衛政策の基本 

1 省移行と本来任務化の基本的考え方

1 背景

 防衛省移行の背景には、わが国を取り巻く安全保障環境の変化がある。そのうち主なものは、次のとおりである。

(1)わが国の緊急事態対処

 わが国周辺においては、大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散、領有権の問題などがあり、一方、国内においては、大規模な自然災害が毎年のように発生している。国民の生命と財産を守るため、このようなさまざまな危機に対してより迅速・的確な対応が求められる時代になってきている。

(2)国際環境の変化

 今日の世界においては、国際テロリズム、大量破壊兵器の拡散の進展など冷戦後の新たな脅威や多様な事態への対応が課題となるとともに、国家間の相互依存関係が深化し、一国の平和と安全は国際社会の平和と安全に密接に結びついたものとなっている。
 したがって、わが国の平和と安全という観点からも、国際的な安全保障環境の改善のための国際社会の取組に主体的・積極的に参加することが重要な課題となってきている。

(3)国際社会における防衛力の役割の変化
 このような国内外の環境にあって、防衛力の役割は、わが国に対する本格的な侵略の未然防止や対処だけでなく、テロなどさまざまな緊急事態への対応、国連の平和維持活動、国家建設の支援、国内外への災害救援、諸外国との安全保障面での信頼性向上など幅広い分野へと拡大している。

 

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