第II部 わが国の防衛政策の基本 

(解説)「自衛隊指揮通信システム隊(仮称)」の新編

 昨年3月の統合運用体制への移行後、内外において部隊を運用する中で、自衛隊の情報通信機能については、情報システムやネットワークの整備・維持管理などの静的な機能に加え、中央と現地部隊との迅速な連絡調整、広範な地域での部隊間の連絡調整など部隊運用に直結する動的な機能の重要性が再認識された。
 このため、自衛隊の指揮命令中枢である中央指揮所(CCP)および自衛隊の骨幹ネットワークである防衛情報通信基盤(DII)の維持管理機能・サイバー攻撃対処機能など、これまで統合幕僚監部が果たしてきた静的な機能を発展的に改編し、部隊化することとした。その際、当該部隊が陸海空各自衛隊の活動を共通して支える性格を有することから、統合運用を情報通信面から支える初の常設の統合部隊である「自衛隊指揮通信システム隊(仮称)」として新編することとしている。
 同隊は、統合幕僚監部から、CCPやDIIの維持管理業務などを引き継ぐとともに、陸海空毎に個別に存在する通信インフラの有機的組み合せによる通信系の臨機応変な構築や、サイバー攻撃発生時の適時適切な通信機能回復などの役割を担うこととなる。
 なお、従来は、二以上の自衛隊からなる「共同」の常設部隊の枠組みが存在しなかったため、既存の「共同の機関1」の枠組みにならいつつ、新たな統合運用の円滑化のための必要性を勘案し、自衛隊法の改正により、「共同の部隊」の枠組みが新設された。
 
「自衛隊指揮通信システム隊」(仮称)の新編


 
1)自衛隊法第24条第5項の規定により、機関について、陸上自衛隊、海上自衛隊および航空自衛隊の共同の機関として設置することができ、病院、学校等が共同の機関として置かれている。


 

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