第I部 わが国を取り巻く安全保障環境 

第4節 ロシア

1 全般

 ロシアでは、ソ連崩壊後、混乱と混迷の状況に陥ったことから、「強い国家」こそが秩序と安定をもたらすとするプーチン政権の政策が国民に支持されている。また、同政権は、多極世界の形成を目標として、中国やインドといった地域の大国との活発な首脳外交を展開しており、昨年7月には、G8サンクトペテルブルク・サミットを成功裏に開催した。
 プーチン大統領は、2期目の大統領就任式で、内政重視の方針を明確にし、社会改革を進めている。一方、地方首長の直接選挙制廃止など中央集権体制の再構築の動きも見られる。また、経済面では、99(平成11)年以降、主要輸出品目である原油などの国際市場価格の値上がりにより、好調な傾向が継続している1。しかし、ロシア経済は、エネルギー資源の輸出に依存しており、国民全体の生活水準も必ずしも十分ではないことから、経済の構造改革などの政策が進められている。


 
1)昨年の経済成長率は6.7%であった。

 

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