第III部 わが国の防衛のための諸施策 

4 広報活動や情報公開など

1 さまざまな広報活動

 国際平和協力活動や災害派遣など、国内外での自衛隊の活動の場の広がりや、北朝鮮によるミサイル発射事案など東アジアの安全保障環境に対する関心の高まりに伴い、国民の防衛に対する関心も高まっている1
 防衛省・自衛隊は、平素から防衛政策や自衛隊の活動を積極的に広報する必要があるとの認識の下、さまざまな広報活動を行っており、最近では、数種類の広報施策を一定期間に集中して実施する「パッケージ広報」など、これまでと異なる新たな広報活動も展開している。このように、さまざまな広報活動を通して、変化する国民の意識やニーズ、海外における防衛省・自衛隊への関心の高まりを踏まえつつ、自衛隊の実態がより理解されるよう努めている。

(1)ホームページ(http://www.mod.go.jp)、パンフレットなど

 防衛省・自衛隊は、インターネットによる情報提供・意見聴取、広報ビデオの作成、街頭大型スクリーンにおける各自衛隊の広報CF:コマーシャル・フィルムの上映を行うなど、マルチメディアを活用した広報に取り組んでいる。
 特に防衛省ホームページでは、わが国の防衛政策の基本となる防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画や自衛隊の国内外での活動の様子などを掲示しているほか、防衛大臣の記者会見や防衛省幹部と各国要人との会談などの、防衛省・自衛隊の最新情報を日々国民各層に発信している。こうした取組の結果、アクセス件数が、05(平成17)年度の月平均約36万件から昨年度で月平均約44万件へと22%増加した。さらに、昨年12月には、子供向けのサイトとして防衛省ホームページ内に「キッズページ」を開設し、本年4月には青少年をはじめとした国民各層に対する簡便性・即時性に優れた携帯電話用ホームページ(http://www.mod.go.jp/m/)を開設するなど、若年層や青少年層向けの新たな広報施策にも取り組んでいる。
 また、防衛省の政策や自衛隊の活動などを説明したさまざまなパンフレットの作成や配布、報道機関への取材協力、新しい広報誌「MAMOR(マモル)」への編集協力など、自衛隊や防衛に関する正確な情報を、より広く一般の国民へ提供するよう努めている2。さらに、自衛隊の海外における活動の活発化に伴い、海外からの防衛省・自衛隊への関心の高まりもあり、英語版パンフレット(Japan Defense Focus)を年4回発行するほか、定例記者会見への海外メディアの参加推進、防衛省ホームページの英文サイトの充実、英語版防衛白書、各種政策パンフレット・広報ビデオの英語版を作成するなど、海外向けの情報発信などの取組も行っている。

(2)イベント・広報施設など3

 防衛省・自衛隊は、自衛隊の現状を広く国民に紹介する活動を行っている。この活動には、毎年富士山麓で行われる陸自の総合火力演習や、各地での海自の護衛艦による体験航海、空自の基地航空祭での航空機の展示飛行や体験搭乗などがある。また、全国に所在する駐屯地や基地では、部隊の創立記念日などに、装備品の展示や部隊見学、音楽隊によるコンサートなどを行っている。さらに、自衛隊記念日記念行事として、自衛隊音楽まつりや観閲式、観艦式、航空観閲式などを行っている。
 昨年の自衛隊音楽まつりは、インド陸軍軍楽隊をはじめとするゲストバンドなどの参加を得て、日本武道館で開催し、延べ約4万6,000人が来場した。また、観閲式などについては、陸・海・空自衛隊が交互に主担当となって、観閲式(かんえつしき)、観艦式(かんかんしき)、航空観閲式を行い、自衛隊の装備や訓練の成果を国民に紹介している。昨年は、海自が観艦式を行い、約5万2,500人が乗艦した。なお、本年は、陸自による観閲式を計画している。
 
インド陸軍軍楽隊(後方)と共演した自衛隊音楽まつり
 
観艦式で乗艦者を乗せて航行する護衛艦(昨年10月)

 このほか広報施設見学にも積極的に取り組んでおり、例えば、防衛省本省においては、市ヶ谷の本省内施設を誰でも見学できるよう、平日の午前・午後の1日2回、ツアー形式により公開しており、00(平成12)年6月のツアー開始以降、これまで18万人以上の見学者が訪れている。また、各自衛隊においても無料で見学できる広報施設を設けているほか、全国の駐屯地や基地の広報館や史料館の施設も公開している。

参照>巻末資料

(3)体験入隊など4

 自衛隊は、民間企業などからの依頼を受け、体験入隊を行っている。これは、自衛隊の駐屯地や基地に2〜3日間宿泊し、隊員と同じような日課で自衛隊の生活や訓練を体験するものである。昨年度は、約1,500件実施し、約2万5,700人が体験入隊した。また、青少年、大学生、女性をそれぞれ対象とした自衛隊体験ツアーなども行っている5


 
1)昨年2月に実施した「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」において、約67%の人が自衛隊や防衛問題に関心があると回答。また、自衛隊に対する印象について、「良い」と回答した人は約85%に達した。※詳細については、資料61を参照。また、同年9月に実施された「自衛隊のイラク人道復興支援活動に関する特別世論調査」では、ニュースなどで見聞きしていた人(約91%)のうち、約72%の人が「評価する」と回答している。
 
2)映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」、「ミッドナイトイーグル」、「マリと子犬の物語」への撮影協力
 
3)イベントなどの細部については、防衛省ホームページ<http://www.mod.go.jp/j/events/index.html>参照
 
4)陸・海・空自衛隊の生活を体験するなどのツアー(ツアー情報は、前述のイベント情報アドレスを参照)
 
5)05(平成17)年3月からは、これまでの各種ツアーに加え、幅広い年齢層の女性が気軽に参加できる企画として、「女性のための自衛隊1日見学」を実施している。

 

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