第III部 わが国の防衛のための諸施策 

2 防衛施設をめぐる諸問題と各種施策への取組

 防衛施設は、わが国の防衛力と日米安全保障体制を支える基盤として、わが国の安全保障に欠くことのできないものであり、常に安定して使用できる状態を維持することが必要である。そのためには、前号で挙げたような諸問題を解決するため、防衛省は、図表III-4-2-5で示す施策を行い、防衛施設と周辺地域との調和を図り、周辺住民の理解と協力を得るよう努めている。

参照>資料63

 その中でも、飛行場周辺における環境整備については、以前から、住宅防音工事への助成をはじめとする生活環境の整備などの施策を重点的に講じてきたが、騒音被害などに起因する訴訟など2が生起した。
 このようなことから、防衛省は、とるべき施策のあり方の検討の資とするため、01(平成13)年、部外の有識者による「飛行場周辺における環境整備の在り方に関する懇談会」を設置した。翌年、同懇談会は、1)いわゆる公平補償を求める運動への対応としては、騒音訴訟に参加しない住民も含め、飛行場周辺に居住する住民のさらなる理解を得る可能性の高い施策を追求すべき、2)周辺地方公共団体や周辺住民の要望の多様化への対応としては、限られた予算の中で、これまでの施策の継続を図るだけでなく、各地域の特性も踏まえた施策の多様化を図るとともに、航空機騒音の深刻な影響を被っている周辺地方公共団体や周辺住民に焦点を当てたメリハリのある施策の展開が必要である、とする報告書を取りまとめた3
 防衛省としては、住宅防音工事への助成をはじめとする生活環境の整備などの施策について、同懇談会からの報告書に盛り込まれた提言などを踏まえ、防衛施設周辺の騒音実態を把握し、実情を考慮して住宅防音工事の対象区域を適切に見直しを行うとともに、新たな施策の充実に努めている。
 また、「骨太の方針2006」(昨年7月7日閣議決定)などを踏まえ、基地周辺対策について、より一層の合理化・効率化を図るとの観点から、補助メニューや補助率について見直しに取り組んでいる。
(図表III-4-2-5・6・7・8参照)
 
図表III-4-2-5 防衛施設周辺地域との調和を図るための施策
 
図表III-4-2-6 防衛施設と周辺地域との調和を図るための新たな施策
 
図表III-4-2-7 平成19年度基地周辺対策経費(歳出ベース)
 
図表III-4-2-8 平成19年度SACO関係費(SACO事業の円滑化を図るための事業)(歳出ベース)
 
周辺障害防止対策事業の一環で拡幅を行った宮崎県(えびの市)の長江川


 
2)1)小松飛行場(石川県)など5飛行場の周辺住民からの夜間の離着陸の差止請求、騒音被害に対する損害賠償請求などを内容とする訴訟の提起および確定判決における「過去分の損害賠償」の認容、2)騒音に不満を持ちつつも訴訟を起こさない住民の不公平感を背景に騒音訴訟判決で請求が認められた過去分の損害賠償に相当する金銭補償やこのような補償の制度化などを求める運動(いわゆる公平補償を求める運動)の生起、3)防衛施設周辺の地方公共団体や住民からの各種施策の拡充などの要望
 
3)<http://www.mod.go.jp/dfaa/kondankai/hokoku.pdf>参照

 

前の項目に戻る     次の項目に進む