第6章 国民と防衛庁・自衛隊 

1 自衛官の教育


(1)教育の現状
 部隊を構成する自衛官個々の能力を高めることは、部隊の任務遂行にとって不可欠な要素である。このため、自衛隊の学校や教育部隊などで、入隊直後の基礎教育や在職期間全体を通じた階級や職務に応じた教育など、段階的かつ体系的な教育を行い、必要な資質を養うと同時に、知識および技能を修得させている。
参照> 資料58資料59

 また、自衛官は、専門の知識・技能をさらに高める必要がある場合や、それらを自衛隊内で修得するのが困難な場合など、海外留学を含め、部外教育機関2、国内企業、研究所などでの教育を受けている。こうした教育や研修は、大学院や大学、専門学校、企業などの理解や協力の下に行われている。今後も隊員の資質と知識・技能をさらに高めるために、広く部外教育機関などから協力が得られるよう努力している。

(2)統合教育
 本年3月から、統合運用体制が開始された。これをより充実させるためには、統合運用に関する知識・技能が不可欠であり、統合教育は重要な基盤の1つである。そこで自衛隊は、各自衛隊の幹部学校など3における統合教育をさらに充実させたほか、上級部隊指揮官または上級幕僚となる幹部自衛官が統合幕僚学校4で統合教育を受ける教育体系としている。統合教育の具体的内容は、軍事情勢、防衛学、統合運用などである。
 
統合について米国軍人と議論する自衛官

(3)時代に適合した教育
 第5章でも述べたように、自衛隊の国際社会での活動の機会や諸外国とのかかわりは、増大している。このため、前述の教育に加え、英語、ロシア語、中国語、韓国語、アラビア語などの外国語教育を行うとともに、相互理解を目的に留学生を受入れている。さらに、国際平和協力業務を継続的かつ効率的に実施し得るよう、今年度に国際活動教育隊の新編なども計画されている。


 
2)昨年度の部外教育の協力先機関は、国内では筑波大学、東京工業大学など、海外では米国国防大学、ハーバード大学など。

 
3)各自衛隊の幹部自衛官に対し、安全保障や防衛戦略などを教育する機関。

 
4)統合幕僚学校(統幕学校)は、統合幕僚監部に属する学校で、幹部自衛官に対し統合に関する教育を行っている。


 

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