第5章 国際的な安全保障環境の改善 

(VOICE)日韓捜索・救難共同訓練(SAREX)に参加した隊員の声

護衛艦「いそゆき」砲雷長 3等海佐 瀬川克則(せがわかつのり)

 昨年8月に対馬南西の海域で行われた日韓捜索・救難共同訓練(SAREX)に参加した護衛艦「いそゆき」の瀬川3佐に、訓練での苦労話や感想を聞いてみました。

 私は、佐世保地方隊の第23護衛隊に所属する護衛艦「いそゆき」に乗艦しています。「いそゆき」では、武器の運用・保守整備や艦上における運用作業等を指揮・監督しています。日韓捜索・救難共同訓練(SAREX)においても運用作業全般に携わりました。
 日韓SAREXを通して、良かったことは、訓練が円滑に行われたことに加え、韓国海軍の幹部隊員とも身近に接することができたことです。また、彼らの国防に対する考え方も垣間見ることができました。
 今回は天候にも恵まれ、比較的平易な捜索・救難の訓練ではありましたが、やはり一番苦労したことは、コミュニケーションです。主に英語による意志の疎通を行いましたが、特に、洋上における無線機を通しての細部調整は難しいと感じました。よりスムーズなコミュニケーションが取れるよう、このような訓練の機会を重ねていくことが大切だと感じました。
 捜索・救難という任務は、国と国の垣根を超えてお互いを助けあうものであり、お互いの信頼と友好を深めるものです。そして、そのための訓練であるSAREXは、海上自衛隊と韓国海軍の共同捜索・救難能力の向上に資するだけでなく、友好親善及び信頼醸成の基礎として、防衛交流の一翼を担う非常に価値ある訓練であります。日韓間には韓流ブームのようにお互いが共有できる価値観も多いと思いますが、一方で、一部の問題で意見の相違が生じる場合もあります。このような状況下であるからこそ、わが国と韓国の防衛交流を促進し、お互いを理解し合うことが大切であると思います。
 
瀬川3等海佐
 
日韓SAREXの様子

 

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