第5章 国際的な安全保障環境の改善 

(解説)アジア・太平洋地域防衛当局者フォーラム(東京ディフェンス・フォーラム)における災害救援活動をめぐる取組

 04年12月のインドネシア・スマトラ沖大地震・インド洋津波被害、05年10月のパキスタン等大地震等、海外で大規模な災害が発生した際には、自衛隊はその能力を活かし、関係各国と協力しながら国際緊急援助活動を実施してきました。
 特に、災害の発生直後の段階においては、自己完結性を備え、短期間で展開可能である各国軍の能力を活かすことで、被災者の救援に大きな役割を果たすことができます。また、大規模な災害は一国のみで対応できるものではなく、効果的な災害救援を行うためには、災害救援に関する国際協力を推進する必要があります。
 こうしたことから、災害救援において防衛当局間の国際協力が必要であるという認識の下、防衛庁が主催するアジア太平洋地域防衛当局者フォーラム(東京ディフェンス・フォーラム)では、近年、災害救援協力の推進に向けた議論を行ってきています。
 昨年6月末の第10回東京ディフェンス・フォーラムでは、「災害救援における軍の役割」および「災害救援活動に係る今後の課題と地域協力の可能性」をテーマに、過去の経験と教訓を参加国間で共有するとともに、災害救援における軍の役割を踏まえ、平素から各国軍が情報共有や机上訓練を行っておくことの重要性を確認しました。
 さらに、本年1月末の第5回東京ディフェンス・フォーラム分科会では、「国際災害救援協力の基盤作りのための平素の取組」をテーマとし、参加各国は、過去のARFの会議等で指摘された教訓や提言の活用について、議論を深めていくことについて合意しました。また、災害救援における円滑な国際協力のためには、一定の地域的枠組みの下での標準運用手続き(SOP)の作成などの「制度面・手続面」での取組みと、能力の向上などの「運用面・実際面」での取り組みの両面で、連携して進める必要があることを確認しました。
 こうした中で、本年6月3日に開催されたIISS(英国際戦略研究所)アジア安全保障会議で、額賀防衛庁長官は、アジア太平洋地域において、実際の災害発生時に各国の軍が迅速に対応するための制度および手続を整備しておくことを提案し、日本は災害救援の分野でイニシアティブをとり続けたい旨のスピーチを行いました。
 今後も、防衛庁・自衛隊は、東京ディフェンス・フォーラムなどの機会を利用し、アジア太平洋地域における災害救援に関する協力の推進について積極的に取り組んでいくこととしています。
 
第10回東京ディフェンス・フォーラム においてスピーチを行う今津防衛庁副長官(当時)

 

前の項目に戻る     次の項目に進む