第5章 国際的な安全保障環境の改善 

4 日豪防衛交流


 オーストラリアは、自由と人権の尊重、民主主義といった基本的価値観を共有する重要なアジア太平洋地域のパートナーである。安全保障面でもオーストラリアとわが国はともに米国の同盟国として戦略的利害が一致しており、防衛分野において多くの関心を共有している。このような観点から、オーストラリアとの間で防衛交流を進めて協力の基盤をつくり、政策面においてより効果的に協調、協力を図ることは、アジア太平洋地域における平和と安定にとって重要である。
 02(平成14)年5月、小泉総理がオーストラリアを訪問し、ハワード豪首相と日豪の創造的パートナーシップを構築することで合意し、安全保障を含む幅広い分野にわたって具体的な協力を促進していくとの認識で一致した。また、昨年4月にハワード豪首相が訪日した際には、政治・安全保障面で、日豪関係が、グローバルで戦略的な関係へと発展してきているとともに、特にイラクにおける豪軍と自衛隊との連携など、さまざまな面で連携・協力が行われていることを確認した。

(1)防衛首脳クラスなどのハイレベルの交流
 03(同15)年9月、ヒル豪国防大臣(当時)が訪日した際、石破防衛庁長官(当時)と会談し、地域情勢、防衛政策、防衛交流などについて意見交換を行うとともに、両国の防衛交流の発展に関する覚書に署名した。これに基づき、両国の防衛首脳をはじめとするハイレベルの交流が継続的に行われている。
 昨年5月、大野防衛庁長官(当時)が訪豪し、ヒル豪国防大臣(当時)との間でイラク・ムサンナー県における活動について英国を加えた3か国で緊密に連携していくことや、2国間防衛交流の推進について一致し、また、海上の安全保障や災害救援の分野での協力や、日米・米豪関係について意見交換を行った。同大臣とは、同年6月のIISSアジア安全保障会議の際にも会談を行い、イラク情勢、海上の安全保障、災害救援などについて意見交換を行った。
 同年5月には、リッチー・豪海軍本部長が訪日し、齋藤海幕長と、11月には吉田空幕長が訪豪し、シェパード豪空軍本部長と率直な意見交換を行った。

(2)防衛当局者間の定期協議など
 96(同8)年以降、毎年、局長・審議官級の防衛当局間協議とともに、外交当局を含めた安全保障対話を行っている。また、統幕、陸・海・空自衛隊とオーストラリア軍との間においても継続的な協議をするとともに、留学生の相互派遣や研究交流を行っている。

(3)部隊間の交流など
 海自とオーストラリア海軍は、艦艇や航空機の相互親善訪問を実施し、部隊間での交流を活発に行っている。最近では、本年5〜6月に、海自哨戒機(P-3C)が初めてオーストラリアを親善訪問し、訓練などを実施した。
 陸自は、東ティモール・マリアナ地区などにおいてオーストラリア陸軍派遣部隊との交流を行ったほか、イラク・ムサンナー県においても、オーストラリア軍の部隊の派遣に伴い交流が行われるなど、国際平和協力活動の分野での交流も行われている。
 
本年5月から6月に、初めて豪州を親善訪問した海自哨戒機(P-3C)部隊

 

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