第5章 国際的な安全保障環境の改善 

5 日英防衛交流


 英国は、欧州のみならず世界に影響力を有する大国としてわが国と深い関係を有しており、安全保障面でも米国の重要な同盟国としてわが国と戦略的利害が一致している。このような観点から、英国との間で防衛交流を進め、政策面における協調、協力を図ることは、双方にとって重要である。
 04(平成16)年1月、石破防衛庁長官(当時)とフーン英国防大臣(当時)との間で、両国の各分野での防衛交流を発展させていくための「防衛交流に関する覚書」が署名され、あらゆるレベル、さまざまな分野で交流を進めていくことが確認された。

(1)防衛首脳クラスなどのハイレベルの交流
 本年1月、額賀防衛庁長官が訪英し、リード英国防大臣(当時)と会談を行い、日英のハイレベル・実務レベルでの防衛交流が進んでいることを確認するとともに、イラクの治安部隊育成の進捗状況や、治安権限移譲などのプロセスについて会談した。その際、英側からインド洋での日本の活動に謝意が述べられた。
 また、昨年9月に、ジャクソン英陸軍参謀長が訪日し、森陸幕長と、同10月にはスティラップ英空軍参謀長が訪日し、吉田空幕長と率直な意見交換を行った。
 
スティラップ英空軍参謀長(左)と吉田空幕長(右)

(2)防衛当局者間の定期協議など
 局長・審議官級の日英防衛当局者協議が活発に行われており、相互に防衛政策やイラク問題について意見交換するなど、局長・審議官級の防衛当局間協議と外交当局を含めた安全保障対話を行っている。また、統幕、陸・海・空自衛隊と英国軍との間においても継続的な協議をするとともに、留学生の派遣や研究交流を行っている。

(3)部隊間の交流など
 陸自は、イラクにおいて英国軍との交流を行っている。特に、昨年3月に英国軍がオランダ軍の任務を引き継ぎムサンナー県に部隊を展開して以降、サマーワにおいて部隊間の交流を活発に行っている。
 また、海自は、昨年6月、トラファルガー海戦200周年記念の国際観艦式に、「かしま」、「むらさめ」、「ゆうぎり」を参加させた。その際、齋藤海幕長が海軍第1海軍卿からの招請により訪英し、英海軍をはじめとする参加国海軍との交流を実施した。

 

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