(VOICE)ロシア潜水艇事故に際しての国際緊急援助活動に従事した隊員の声(海自)
掃海艇「ゆげしま」艇長 1等海尉 田鹿哲也(たじかてつや)
私が艇長を勤める第45掃海隊の掃海艇「ゆげしま」は8月5日にロシア潜水艇の事故に際し、僚艇「うわじま」とともに、速やかに準備を整えて函館を出港し、全速力で現場に急行しました。また、横須賀からは、潜水艦救難母艦「ちよだ」と掃海母艦「うらが」が現場に向かいました。
現場の詳しい状況もわからず、また、救出までの時間的な猶予もない難しい任務でしたが、乗員の士気は高く、艇内ではソーナーや機雷処分具(S−7)などの装備を活用して水中の状況をいち早く確認する方法や、ロシア潜水艇の舵に絡まった海底ケーブルの切断方法など、救助活動に関する意見が活発に出されました。任務を達成するために、乗員全員が一所懸命に知恵を絞る姿は、艇長として大変頼もしく感じました。
結果的に、我々の現場到着前に、遭難したロシア潜水艇の乗員が無事救助されましたが、この初動における措置は、救援隊を派遣した各国の中でも最も早い対応だったと聞いています。これは、部隊の即応態勢に加えて、これまで積み重ねてきた西太平洋潜水艦救難訓練などの成果であったと思います。また、昨年は海自とロシア海軍で日露捜索・救難共同訓練(SAREX)を実施するなど、共同訓練や防衛交流を通して友好な関係を築いてきましたが、さらに、本活動によってロシア海軍との信頼関係が深まったと感じています。