第5章 国際的な安全保障環境の改善 

(解説)インド洋での海自部隊の支援活動

 わが国は、テロ対策特措法成立以来、4年以上にわたり、切れ目なくインド洋に補給艦を派遣し、海上阻止活動を行っている各国艦艇への補給を中心とした協力支援活動を行っています。
 この海域で補給艦による補給支援がない場合は、海上阻止活動(OEF-MIO)を行っている各国の艦艇が海域にとどまって、活動を継続できるのは数日間であり、燃料を消費した後は燃料補給のために補給地に寄港しなければなりません。海上阻止活動を行う艦艇が補給のたびに作戦海域を離脱すれば、作戦効率が著しく低下し、テロリストが他国に逃走することを簡単に許すことになるとともに、武器や国際テロの資金源となる麻薬などが世界中に拡散する可能性が高まります。
 つまり、この海域で洋上補給を行う海自部隊の支援が、各国の艦艇の計画的で長期の作戦継続を可能とし、海上阻止活動の効果を高めることができると言えます。
 これら洋上における補給は、補給艦の真横30〜50mの距離を同じ速力で航行する受給艦にホースを渡して、数時間(最長6時間)にわたり、等距離、同速力を維持しつつ並走しながら燃料を供給する作業であり、高い操艦技術と隊員の練度、忍耐を要する作業です。さらに、補給を行っている周辺海域では、すぐには国籍が確認できない船舶や航空機が航行しており、作業を行う隊員は、常時、不測の事態に対応できる態勢を維持しなければならず、極度の緊張を強いられます。また、気象状況も外気温度は最高40度を超え、甲板上は約70度以上になることもあるなど、厳しい環境の下で隊員は忍耐強く任務を遂行しています。
 こうした隊員の献身的な働きによって行われている支援活動は、各国から高く評価されており、「日本の給油支援があるからこそ、テロとの闘いにおける海上阻止作戦に艦艇を派遣できた国もある」1などの賛辞を得ています。
 
米国艦艇に洋上補給を行う補給艦「ましゅう」


 
1)デロング米中央軍司令官(当時)と海幕長の会談での発言


 

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