第5章 国際的な安全保障環境の改善 

(VOICE)イラク人道復興支援活動に従事する隊員の声(空自)
 
第7期派遣輸送航空隊 3等空佐 加藤 治(かとう おさむ)(現所属:第1輸送航空隊401飛行隊)
加藤3等空佐(前列右から2番目)と派遣部隊のクルー

 イラク人道復興支援特措法に基づき、わが国や、関係国、関係機関からの人道復興関連の物資の輸送等に従事したC-130Hのパイロットの加藤3佐に現地での苦労などについて聞いてみました。

Q 本任務に従事して良かった事について
A 国際社会が注目をしているイラク復興のための任務に、わが国の一員として従事できたことは非常に名誉なことでした。特に、事故無く任務を全うできたことに誇りと喜びを感じています。
 現地での飛行は、気を緩めればクルー全員の安全にもかかわる任務でしたので、国内での運航以上に、派遣要員には強い連帯感や一体感がありました。派遣前の訓練期間を含めて約半年間一緒に行動したクルー全員が、無事に任務を達成できたことは、運航の現場責任者として大きな喜びです。

Q 本任務に従事しての苦労や心配について
A イラク国内での飛行では、携帯型ミサイルや機関砲などに対する警戒感は常にありましたので、全周を目視などにより監視しつつ、「絶対に被弾を回避する」と思いながら操縦桿(そうじゅうかん)を握っていました。
 着陸する飛行場へのテロ攻撃の可能性もあり、また、風が強く吹くと砂が舞い上がり、飛行場やその周辺の視界が極端に悪くなることなどから、特に離着陸時は大変緊張しました。
 しかし、安全に配慮して、派遣前に十分な訓練を実施したことや、必要な防御器材を搭載するなど航空機の装備品も充実していたので、自信を持って任務を遂行できました。
 また、外気温が50℃を超える酷暑時の派遣であったため、砂漠の砂の吸い込みを防ぐためにエアコンを使用できない機内は、さらに高温となり、まるで滝のように汗が流れてくる状況でした。このため、精神的にも肉体的にもかなりの疲労を伴う任務でしたが、運航終了時には深い安堵と大きな達成感をクルー全員で味わうことができました。

 

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