第5章 国際的な安全保障環境の改善 

6 インドネシア・ジャワ島中部地震に際しての国際緊急援助活動


 本年5月27日に、インドネシア・ジャワ島中部で発生した大規模地震により、震源に近いジョクジャカルタ特別州の南部では、ほとんどの建物が倒壊し、多くの死傷者が出るなどの大きな被害が生じた1
 同月29日、インドネシア政府からの要請を受け、外務大臣から防衛庁長官に対し、国際緊急援助法に基づく協議が行われ、額賀防衛庁長官は、国際緊急援助活動を行うため、自衛隊を現地に派遣することを決め、派遣準備を指示した。
 これを受け、同月30日に、現地での情報収集や受入れ調整などを行う、先遣チーム約20名が現地に出発、31日に、防衛庁長官は派遣命令を発出し、翌6月1日、医官7名を含む医療援助隊約50名と、輸送にあたる空自C-130H輸送機2機を現地に派遣した。
 被災地のジョクジャカルタ特別州の山間部などでは、医師が少なく、多くの負傷者への医療支援が必要なことから、派遣された医療援助隊は、同月2日、同州のグヌンキドゥル県ブンダル村で、巡回を開始し、3日には医療用のテントを設置して、湿布や消毒などの医療支援を行った。
 
図表5-1-20 インドネシア・ジャワ島中部地震発生地域周辺

 さらに、同月2日、防衛庁長官は、先遣チームの現地調査結果等を踏まえ追加派遣を決定し、同月4日、約100名の陸自追加派遣部隊と物資の輸送にあたる空自C-130H輸送機2機が、現地に向け出発した。
 同月13日、防衛庁長官は、現地での応急的な医療のニーズは、ほぼ満たされつつあることから、国際緊急援助活動中の自衛隊部隊に活動終結命令を発出し、派遣部隊は16日まで活動し、22日までに帰国した。活動期間中、派遣された医療援助隊は、累計3,759名を診療するとともに、1,683名への予防接種、4,300m2の防疫を実施した。
 
ブンダル村に開設された救護所での診療の様子


 
1)わが国は28日、インドネシアに医療関係者等からなる緊急援助隊・医療チームの派遣、総額1,000万ドルの無償資金協力及び約2,000万円相当の緊急援助物資供与を決定した。


 

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