第5章 国際的な安全保障環境の改善 

4 ロシア連邦カムチャッカ半島のロシア潜水艇事故に際しての国際緊急援助活動


 昨年8月4日にカムチャッカ半島沖において、ロシア海軍所属の深海潜水艇が、海底ケーブルを固定するワイヤーに舵を絡ませ動けなくなる事故が発生し、同月5日に、ロシア政府から外務省を通じ防衛庁に、当該潜水艇を救助するための艦艇の派遣について要請があった。同日、防衛庁長官の命令により、当該ケーブルの切断作業等を実施するため、海自の潜水艦救難母艦「ちよだ」、掃海母艦「うらが」、掃海艇「うわじま」、「ゆげしま」の4隻が派遣された。
 
救助に向かった潜水艦救難母艦「ちよだ」
 この救援活動は、同月7日に英国の無人潜水救難艇によって乗員7名全員が無事救出されたため、海自艦艇の現場到着前に完了したが、イワノフ・ロシア国防大臣から大野防衛庁長官(当時)に対し、「日本が最初に行動を起してくれた。この恩は永久に忘れない。」という旨の電話連絡があり、わが国の救難活動に対する積極的な対応と、海自部隊の即応態勢が高く評価された。
 また、ロシア海軍太平洋艦隊司令官は、自衛艦隊司令官に対し「近年のロシア太平洋艦隊と海自の防衛交流に基づく信頼関係の賜である。」と述べるとともに、謝意を表明した。
 さらに本年1月、額賀防衛庁長官がロシアを訪問した際、これら功績に対し、プーチン・ロシア大統領から派遣部隊指揮官、木下憲司1等海佐(第2潜水隊群司令)に対して、ロシア連邦名誉勲章の伝達が行われた。
 
名誉勲章の伝達を受ける木下憲司1等海佐

 

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