第5章 国際的な安全保障環境の改善 

3 国際テロ対応のための活動


1 国際社会の取組


 01(平成13)年に発生した9.11テロ以降、国際社会はテロを根絶するため、軍事面のみならず、さまざまな分野において「テロとの闘い」を続けてきている。最近においても、アルカイダ等国際テロ組織の関与が疑われるテロ事件1が世界各地で引き起こされるなど、「テロ攻撃」による脅威は依然として存在しており、テロの撲滅には長期にわたる取り組みが必要である。
 また、複雑で多様な地域紛争は、地域社会の平和と安全にとっての脅威となるだけでなく、内戦により国家が荒廃した状況に乗じて、国際テロ組織が浸透し、その活動が全世界へ拡大することが懸念される。
 とりわけ、アフガニスタンとパキスタンの国境地帯を中心にアルカイダ等の活動拠点が存在していると言われ、また、アフガニスタンが依然としてテロリストの資金源となる麻薬の生産拠点ともなっていることから、米軍をはじめとする各国はテロを掃討するため、「不朽の自由作戦」(OEF:Operation Enduring Freedom)を実施している。
(図表5-1-8参照)
 
図表5-1-8 テロリストの拡散とOEFの概要(イメージ)

 これらの地域では、約20か国がアフガニスタン本土におけるOEFに部隊などを派遣し、陸上での掃討作戦などを行っており成果をあげているが、テロリストや麻薬、武器などの密輸に関与しているグループなどの一部は、山岳地帯などを経由して、海上に逃れるとともに、船舶などを利用して中東やアフリカ、ヨーロッパ、東南アジアなどの活動地域に移動し、爆弾テロなどを引き起こしていると見られている。
 このような、テロリストの逃走や武器弾薬、麻薬などの拡散を阻止、抑止するため、インド洋で海上阻止活動(OEF−MIO)2が行われており、現在、欧米諸国やパキスタンの艦艇が活動している。これら艦艇により、無線照会や乗船検査を実施し、不審船から大量の麻薬を押収するとともに、大量の小銃や携帯用対戦車ロケットを発見するなどの成果をあげている。
 また、国際社会は、アフガニスタンを再びテロの温床にしないとの観点から、ISAF:International Security Assistance Force(国際治安支援部隊)による活動などにより、治安の維持や復興支援を行っている3
 
OEF-MIOに従事する外国艦艇に洋上補給を行う補給艦「おうみ」と周囲を警戒する護衛艦「いなづま」


 
1)フィリピン(マニラ他、2005年2月)、エジプト(シャルム・エル・シェイク、2005年7月)、ロンドン(2005年7月)

 
2)MIO:Maritime Interdiction Operations 海上阻止活動

 
3)現在、約20か国がアフガニスタン本土におけるOEFに部隊・将校等を派遣しており、さらに、各国は、アフガニスタンを再びテロの温床としないとの観点から、36か国が首都カブールおよびその周辺の治安維持支援を行うISAFで活動している。


 

前の項目に戻る     次の項目に進む