第4章 日米安全保障体制の強化 

(VOICE)防衛庁職員を対象とした米研究所主催の研修

海上自衛隊 幹部学校付(当時米国留学中) 1等海尉  濱中みゆき

 私は、本年3月にワシントンDCで実施された、米国を代表するシンクタンクの1つであるCSIS(戦略国際問題研究所)主催の防衛庁職員研修に参加いたしました。この研修には、日米同盟を始めとする安全保障政策に関する、最新かつ幅広い専門的知識の吸収、米国の安全保障関係者との人的関係の構築という大きく分けて2つの目的がありました。
 米国及び日米間の安全保障関連事項について学ぶ上で、アーミテージ元国務副長官、ファーゴ元太平洋軍司令官をはじめとする、望み得る最高レベルといっても過言ではない方々を講師に迎え、政策、運用、情報、調達といった分野や、中国、インド、韓国といった地域についての情勢認識・政策など多岐にわたる内容を研修いたしました。米国では、過去何十年もの間、国益の追求という観点からは国家安全保障政策上の目的にあまり大きな変化はないが、一方で、目的を追求する手段に関しては、最新の技術の採用や変革の実施など常に最善を求めるという基本的考え方を持っているということがよく理解できました。特に、最近は、安全保障・防衛の分野においても、効率性を重視するとの観点からビジネス的手法を大きくとりいれるなど、民間の能力や考え方の活用が進んでいることが印象に残りました。
 このように、最新の知識を得たことも大変貴重な経験となりましたが、研修のもう1つの大きな成果は、国防省のヒル北東アジア部長ほか日本担当との意見交換などを通じて、過去、現在、将来の米国の対日政策関係者の率直な考えを知ることができたことです。日本側参加者の「米国は、日本に対し同盟国としてどのような役割を望むのか」という質問に対し、政府関係者の一人が「これからは、米国が何を望むのかという基準ではなく、どのような役割を果たしていくつもりなのかを日本自身が考えて欲しい」と答えたように、日米同盟という枠組みの中でのわが国の主体性を望む発言が多いように感じました。
 米国政府関係者等が、われわれ若い世代を対象としたこの研修に時間を割き、率直に意見交換に応じてくれたことからも、同盟国としてのわが国への高い評価を感じるとともに、防衛庁と米国との結びつきの強さと将来の防衛庁・自衛隊に対する期待の大きさを実感しました。
 
海自幹部学校付 濱中1等海尉(写真中央)

 

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