第4章 日米安全保障体制の強化 

(Q&A)なぜ、米軍のBMD用移動式レーダーを日本におく必要があるのですか?

 米軍の弾道ミサイル防衛用移動式レーダー(Xバンド・レーダー)は、弾道ミサイルが飛んで来る可能性が高い空域を監視し、飛んで来る弾道ミサイルをピンポイントで詳細に捉える能力の高いレーダーです。
 このレーダーは、弾道ミサイルから自国の本土を防衛するための固定式レーダー・システムに加え、国外の展開部隊や、同盟国・友好国に飛来する弾道ミサイルを探知・追尾するための移動式レーダー・システムとして開発されたものです。特徴としては、移動式であり、比較的小型であること、多くのレーダーのように回転して360°の範囲で電波を放射するのではなく、前方のある特定の範囲へ電波を放射することなどがあげられます。なお、このレーダーで用いられている電波は、車のスピード違反の取り締まりなど日常生活でも用いられているものであり、決して人体や環境を汚染するものではありません。
 わが国としては、弾道ミサイルから国民の生命・財産を守るために必要かつ他に代替手段のないものとして、弾道ミサイル防衛(BMD)システムを導入することとしており、BMDに対応したイージス艦やペトリオットPAC−3などを配備します。それに加えて弾道ミサイルの飛来状況を監視し、発射地点および弾着地点を割り出し、各政府機関や国民に情報を伝達し、国民保護や被害が発生した時の対処に活用することが重要です。
 しかしながら、飛来状況の監視や、迎撃システムの能力を引き出すために必要なわが国のレーダー網は、2012年にならなければ完成しない状況にあります。一方、この米軍のレーダーは本年から運用可能であり、わが国に展開して、弾道ミサイルの監視を行い、ミサイル防衛に必要なデータがわが国に提供されます。このことは、わが国のBMD能力を補完し、国民の生命・財産を守るために非常に有益です。また、わが国のレーダー網の整備後も、異なる種類のレーダーでの監視は、その強力な補完となることが考えられます。
 
BMD用移動式レーダー(Xバンド・レーダー)

 

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