第4章 日米安全保障体制の強化 

(解説)横田空域

 横田空域は、新潟県から東京西部、伊豆半島、長野県まで広がり、12,000フィート(約3,700m)から最高23,000フィート(約7,000m)の高度に上る空域であり、現在、この空域においては米軍が管制業務を行っています。この空域内には、米軍の横田をはじめ、空自の入間、海自・米軍の厚木などの飛行場があり、これらの飛行場を利用する航空機に対する進入管制業務(航空機に対し出発・進入の順序、経路、方式の指示などを行う業務)を行うための空域として利用されています。
 羽田空港や成田空港から西日本方面などへ向かう航空機は、関西空港および大阪空港へ向かうものをのぞき、横田空域を避けて飛行しています。現在2009年中に羽田空港において4番目の滑走路の供用開始が予定されており、同空港の再拡張後は、発着容量が現在の年間約29.6万回から、約40.7万回へと大幅に増加することが見込まれています。
 横田空域については、日米合同委員会の下の枠組みにより日米両国政府が協議を行い、これまで7回の一部返還が実現していますが、日本政府として求めてきた横田空域における進入管制業務の米軍から日本政府への移管(以下「横田空域の全面返還」という。)については、米軍は運用上の理由により応じられないとの立場でした。
 わが国としては、安全保障上の必要性を踏まえつつ、横田空域の全面返還の実現に向けてこれまでも鋭意努力してきたところであり、今回の兵力態勢の再編に関する協議にあたり、米軍や自衛隊の運用に支障を来すことなく、羽田再拡張後に増加する民間航空機がより安全かつ円滑に運航できるよう、検討を行いました。その結果、本年5月の再編の最終取りまとめにおいて、横田空域の一部について、本年10月までに返還される空域を特定し、2008年9月までに返還を実施することなどの措置について合意し、あり得べき全面返還に必要な条件についても、関連空域の再編や航空管制の手続きに関する包括的な検討の一環として検討し、平成21年度中に結論を得ることとしました。
 また、本年5月19日には、この合意を踏まえ、日米合同委員会の下の民間航空分科委員会(第65回)が開催され、同分科委員会に横田および岩国空域を検討するための特別作業部会を設置すること、横田空域の一部について軍事上の目的に必要でないときに管制業務の責任を一時的に日本国の当局に移管することを合同委員会に勧告するなどが合意されました。
 
横田空域

 

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