第4章 日米安全保障体制の強化 

(Q&A)なぜ、米軍のグアムへの移転経費を日本が負担するのですか?

 米軍再編は、在日米軍の抑止力を維持しつつ地元の負担を軽減するため、是非とも実現しなければならない事案です。特に、在日米軍の施設・区域の75%が沖縄県に集中し、住民の生活環境や地域振興に大きな影響を及ぼしている現状を踏まえれば、在沖米海兵隊のグアム移転をできる限り早期に実現させることが重要であり、政府は積極的に米側に働きかけて交渉してきました。この結果、本年4月の日米防衛首脳会談においてぎりぎりの協議を経て、グアム移転経費の日米双方の分担について合意に至りました。

 この移転を早期に実現する上で、グアムにおいて必要となる施設・インフラの整備を米国のみが行った場合、非常に長期間を要することが予想されます。このため、日本政府は、海兵隊の司令部庁舎、隊舎や家族住宅などの整備を支援することにしました。
 この際、わが国は、米国が主張していたような総額に占める割合ではなく、移転のための施設・インフラの所要に基づき経費を分担します。海兵隊の司令部庁舎・教場、海兵隊員の隊舎、学校などの生活関連施設は、家賃や利用料金等による資金の回収がどうしても困難であるため、財政支出で整備しますが、わが国の財政支出をできる限り少なくするため、海兵隊員の家族住宅および電力・上下水道などの基地内のインフラの整備には、民間活力を導入し、出資や融資等により措置していくこととしています。
 民間活力を導入する事業の資金は、米側が支払う利用料により将来回収されることになります。このように、民間活力を積極的に導入することにより資金や業務の効率化を図った結果、わが国の財政支出は最大でも28億ドルに留まり、米国の31.8億ドルを下回ります。
 米国も応分の分担をしており、またグアムに移転する海兵隊は引き続きわが国およびアジア太平洋地域の平和と安定のために機能します。

 今回、日米で合意した金額については、具体的な事業スキームの検討にあわせてさらに精査していくため、変更があり得ます。わが国の努力で効率化された場合には、その分わが国の分担が軽減されることになります。このため、今後、わが国として移転のための事業を実施するにあたっては、民間活力を導入する事業はもとより、政府の財政支出による事業についても、具体的な事業スキームや細部経費の積算などをきちんと精査し、より一層の効率化に努めていきたいと考えています。
 
グアム移転経費の内訳

 

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