第4章 日米安全保障体制の強化 

(Q&A)在沖海兵隊はどのような機能を果たしているのですか?海兵機動展開部隊司令部や何千人もの人員が移転して、抑止力には問題はないのですか?

 米海兵隊は、さまざまな事態に対し、迅速かつ柔軟に展開して対応するという機能を果たしており、その戦力は陸上、航空及び支援部隊が1つのまとまりとして迅速に展開できるよう組織されており、海兵空地任務部隊(Marine Air-Ground Task Force)とよばれています。そのまとまりの単位として、米海兵隊においては、その規模別に
1) 海兵機動展開部隊(MEF(Marine Expeditionary Force) 数万人程度(通常4万人程度))
2) 海兵機動展開旅団(MEB(Marine Expeditionary Brigade) 3,000人〜2万人程度)
3) 海兵機動展開隊(MEU(Marine Expeditionary Unit) 2〜3,000人程度。)
があります。
 このうち最大の単位であるMEFの1つとして、現在沖縄に司令部のある第3海兵機動展開部隊(IIIMEF)があります。IIIMEFは、MEFとして唯一米国外に常時展開しているものですが、規模は他の2つのMEFに比べ、約2万数千人規模とやや小規模です。IIIMEFは、沖縄にあって、わが国の安全、地域の平和と安定の確保において重要な役割を果たしており、アジア太平洋地域の国々との間との共同訓練なども行ってきています。その隷下の部隊として、第3海兵師団、第31海兵機動展開隊の司令部が沖縄に所在しています。
 IIIMEF司令部などの移転は、抑止力を維持しつつ沖縄における地元負担を大幅に軽減するためのものであり、この移転においては、IIIMEF司令部や約8,000名の海兵隊要員とその家族約9,000名が沖縄から移転することとされていますが、残りの在沖縄海兵隊部隊が再編されて、一定の規模は沖縄に駐留するため、一定の初動対処能力は沖縄に維持されることとなります。また、海兵隊が本来高い機動力、即応性を持っているのに加え、昨年10月の「2+2」共同文書においても日米間の航空および海上輸送協力の向上の重要性が示されています。これらのことから、今般のIIIMEF司令部などの移駐により、在日米軍が有している抑止力は、維持されることになります。

 

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