第4章 日米安全保障体制の強化 

3 「新世紀の日米同盟」


 本年6月29日、訪米した小泉総理は、ブッシュ米大統領と日米首脳会談を行った。
 会談においては、この5年間に「世界の中の日米同盟」を強化し、新世紀の日米同盟の基礎を築いてきたことおよび、日米は価値観と利益を共有し、地域および世界の安定と繁栄のために幅広い協力ができることを確認した。また、イラクにおける人道復興支援や、北朝鮮情勢などについて議論がなされ、北朝鮮ミサイル問題に関しては、その発射が国際社会にとって重大な問題であることで認識が一致した。
 また、この会談において、日米協力の成果と方向性を謳(うた)った「新世紀の日米同盟」と題する共同文書を発表した。この文書は、21世紀の地球的規模での協力のための新しい日米同盟を宣言するものであり、安全保障協力などについては以下が示されている。
○ 総理及び大統領は、双方が就任して以来日米の安全保障関係において達成された著しい進展を歓迎した。日米の安全保障協力は、弾道ミサイル防衛協力や日本における有事法制の整備によって、深化してきた。
○ 両首脳は、2005年2月の共通戦略目標の策定や、日米同盟を将来に向けて変革する画期的な諸合意が行われたことを歓迎した。米軍及び自衛隊の過去数十年間で最も重要な再編をはじめとして、これらの合意は歴史的な前進であり、米軍のプレゼンスをより持続的かつ効果的にするものである。同時に、変化する安全保障環境において、日米同盟が様々な課題に対処するために必要とする能力を確保するものである。両首脳はまた、これらの合意の完全かつ迅速な実施が、日米両国にとってのみならず、アジア太平洋地域の平和と安定にとっても必要であることについて一致した。
○ 両首脳は、強固な日米協力が、中国の活力を生かし、北東アジアの平和と安寧の維持に資することを確認した。また、両首脳は、北朝鮮に対し、2005年9月の六者会合での共同声明における非核化の誓約を履行し、ミサイル実験モラトリアムを引続き遵守するよう呼びかけた。
○ 両首脳は、テロとの闘いにおける最近の成功や、イラク新政府への支援、イラン問題を含む不拡散面での協力といった幅広い地球的規模の活動に関し、両国の共同の取組みを改めて評価した。大統領は、アフガニスタン及びイラクにおける日本の人道復興支援、並びにインド洋での多国籍軍に対する日本の支援を賞賛した。
 また、日米間の友好関係や地球的規模での協力関係が今後とも益々発展していくことを共に希望したとされており、安全保障協力においても、次節で説明する一連の日米間の合意につき、完全かつ迅速な実施が必要であるとされている。
 本年5月の「2+2」会合の共同文書において、安全保障・防衛協力の在り方の検討について重要性が強調されており、今後、関係省庁や米側と議論を深めていきたい。
 いずれにせよ、防衛庁としては、今後、10年、20年を見据えた、日米の安全保障・防衛協力の在り方について幅広く検討していくことが必要であると考えている。
参照> 本章2節4

 
日米首脳会談後、共同記者会見に臨む日米両首脳(本年6月)[内閣広報室]

 

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