第3章 わが国の防衛のための自衛隊の運用と災害派遣や国民保護 

(解説)BMD日米共同技術研究の試験成功について

 弾道ミサイルを早期にしかも確実に撃破するためには、迎撃ミサイルの速度や運動性能などをさらに向上させる必要があります。このため、99(平成11)年から開始された海上配備型上層システムの日米共同技術研究においては、ミサイルの主要な4つの構成品を対象として研究を行い、弾頭破壊能力・識別能力の向上や迎撃ミサイルの運動性能の改良を目指してきました。
 共同技術研究の試作・性能確認試験の一つとして、本年3月9日に日米が共同で行った発射試験では、迎撃ミサイルの弾頭部を保護するクラムシェル(二枚貝)型「ノーズコーン」の試作品をハワイ・カウアイ島沖の米海軍イージス艦「レイクエリー」から発射し、太平洋上約100キロで試作品の分離機能が正常に作動したことを確認し、成功を収めています。「ノーズコーン」は、内蔵する赤外線シーカ−やキネティック弾頭を大気中での飛翔によって発生する空力加熱から保護する重要な構成品ですが、大気圏外において必要がなくなった後は直ちに外れ、シーカー等の性能を最大限に引き出すことが求められます。このための方式として、左右に分離するクラムシェル型は極めて有効な方式です。この試験で得られたデータを含め、日米共同技術研究の成果は、今年度から開始する日米共同開発に反映される予定です。
 
左右に分離するノーズコーン(イメージ)
 
日米共同技術研究の試作対象

 

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