第3章 わが国の防衛のための自衛隊の運用と災害派遣や国民保護 

(Q&A)弾道ミサイルに対処するためにはどんな技術が必要ですか?またそれは現在、どのような状態ですか?

 弾道ミサイルは、高速(F-15の最高速度の約4倍以上に相当するマッハ約9以上)で飛行し、遠距離から発射されるとともに弾頭も小さいため、レーダーなどで探知することは非常に難しい上に、対処のための時間も極めて限定されます。
 特に、弾道ミサイルの弾頭自体の威力を無効化するためには、固い殻に守られた小さな弾頭自体を破壊しなければならないため、大きな破壊エネルギーが必要となります。これは迎撃ミサイル自身の質量と速度を破壊エネルギーとして利用し、直撃によって破壊する方法であり、「ビュレット・ツー・ビュレット(弾丸が弾丸を撃つ)」と言われております。このためには、迎撃ミサイル自身の目となるシーカーが、赤外線などにより目標をとらえ、緻密な姿勢制御により直撃する技術が鍵となります。
 わが国が現在導入を進めているイージス艦のSM−3は、米国がこれまで数次にわたる発射試験を行い、成果を収めています。またペトリオットPAC−3についても、発射試験のほか、既に03(平成15)年のイラク戦争でも実戦投入され、飛来する地対地ミサイルを撃破し、成果をあげています。このような米国における試験結果などに加え、わが国独自でもシミュレーションなどを行い、その技術的信頼性を確認しています。さらに、将来に向けた能力向上についても、日米間で各種の共同研究、共同開発を進めています。
 
(Q&A)弾道ミサイルに対処するためにはどんな技術が必要ですか。またそれは現在、どのような状態ですか。 写真(1)
 
(Q&A)弾道ミサイルに対処するためにはどんな技術が必要ですか。またそれは現在、どのような状態ですか。 写真(2)

 

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