第6章 国民と防衛庁・自衛隊 

6 技術研究開発の充実


 防衛庁では、厳しい財政事情を踏まえ、研究事業の「選択と集中」を行うため、今後重点的に取り組むべき技術分野や各技術分野毎の長期的な見通しを得るべく、技術戦略を策定する1
 また、多様な事態への対応や統合運用の実施などの観点から、運用面のニーズをこれまで以上に見据えつつ、最新の科学技術を取り込んで研究開発を実施する必要がある。そこで、次に掲げる新たな研究開発手法を取り入れている。
1)装備品の原型の試作などを行い、それを適切な部隊の使用に供し、じ後の研究開発や調達などに反映していく「運用実証型研究」の導入。
2)開発着手時に最終的に達成すべき要求性能を設定せず、着手後においても、要求性能の精度を高めたり、最新の軍事科学技術を取り入れたりすることを可能とする「進化的開発」の導入。
 さらに、事業評価の体制の充実を図るとともに、一旦着手した事業についても事情の変更があった場合には、当該事業の中止を含めた見直しを柔軟に行い得る意思決定システムを構築した。
 装備品のライフサイクルを通じた性能、スケジュール、コストの最適化を図る観点では、装備品を創出する構想・研究および開発段階での、性能・コストなどにかかる複数の提案の比較による分析を徹底していくこと、さらに、装備品が配備された後も、それをフォローアップして改善などを実施していくことが効果的であり、研究開発体制への取り組みとして継続的に検討を行っている。
(図表6-2-15・16参照)
 
図表6-2-15 技術研究本部で研究中の最先端技術
 
静粛化を図って開発中の海自次期哨戒機用エンジン
 
組み立て中の空自次期輸送機静強度試験機
 
図表6-2-16 防衛庁において開発中の主要な装備品など


 
1)具体的には、民間の技術動向を把握し、最新の科学技術を取り込みつつ、今後重点的に取り組むべき技術分野や各技術分野毎の長期的な見通しを取りまとめ、5か年毎の作成を制度化している。


 

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