2 イラク国家再建に向けた取組への協力
イラクにおける主要な戦闘は終結し、国際社会は、03(平成15)年5月、安保理決議第1483号
1およびそれに引き続く安保理決議を採択し、イラクの復興支援に積極的に取り組んでいる。イラクの再建は、イラク国民や中東地域の平和と安定はもとより、わが国を含む国際社会の平和と安全の確保にとって極めて重要である。
わが国は、憲法の範囲内で、主体的かつ積極的に、できる限りの支援、協力を行うため、同年7月に成立した、イラク人道復興支援特措法に基づき、03(同15)年12月以降、自衛隊の部隊を順次、現地に派遣し、政府開発援助(ODA)による支援と連携しながら、医療、給水、公共施設の復旧・整備、人道復興関連物資などの輸送を中心とした活動(人道復興支援活動)を行っている。
また、これに支障を及ぼさない範囲で、諸外国が行うイラクの国内の安全と安定を回復する活動の支援(安全確保支援活動)も行っている。
わが国の支援活動は、イラクをテロの温床とせず、平和で民主的な責任ある国家として復興することを支援するものであり、将来にわたるイラクとわが国の良好な絆の礎(いしずえ)となるものである。また、これは、中東地域全体の安定に寄与するのみならず、石油資源の9割近くをこの地域に依存しているわが国にとって、国家の繁栄と安定に直結する極めて重要なことでもある。
また、わが国がイラクにおいて人的貢献を行い、米国とともにイラクの復興のために活動することにより、日米両国はますます強固な信頼関係で結ばれることとなり、このような活動は、日米同盟の強化にも寄与している。
こうしたイラクの国家再建に向けたわが国の協力は、国際社会とイラク国民から高い評価を受けており、わが国に対する信頼の向上のみならず、日米の安全保障面での協力をさらに緊密かつ実効性あるものとする上で有意義である。また、わが国の国内においても、同活動がイラク復興に役立っていることは、多くの国民から評価されている
2。
1)米英軍の占領軍としての特別な権限・義務を確認し、国際的に承認されたイラク国民による政府が設立されるまで、「当局」に領土の実効的な施政を通じてイラク国民の福祉を増進することを要請するとともに、イラクの国民に対する人道上の支援、イラクの復興支援を行うこと、同国の安定と安全に貢献することを国連加盟国に要請している。
2)「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」(本年2月)では イラク復興における自衛隊の活動がイラクの復興に役立っていると思うかとの問いに対し、66.7%の人々が「役立っている」と回答するなど、国民の多くが活動を評価している。