第5章 国際的な安全保障環境の改善 

1 イラク人道復興支援特措法と基本計画の概要


(1)イラク人道復興支援特措法の概要
 03(平成15)年3月より安保理決議に基づいて国連加盟国がイラクに対して行った武力行使の結果を受けて、国際社会は、イラク国家の速やかな再建を図るため、イラクの国民による自主的な努力を支援し、および促進しようとする取り組みを行ってきた。
 イラク人道復興支援特措法は、わが国がこのような国際社会の取り組みに主体的・積極的に寄与するため、安保理決議第1483号などを踏まえ、人道復興支援活動および安全確保支援活動を行うこととし、もってイラクの国家の再建を通じて、わが国を含む国際社会の平和および安全の確保に資することを目的としている。
 人道復興支援活動および安全確保支援活動の内容は、図表5-1-4のとおりである。
 また、この法律は、施行から4年で効力を失う限時法である。
 
図表5-1-4 イラク人道復興支援特措法における活動の内容

(2)基本計画の概要
 政府は、03(平成15)年12月9日、国際社会の責任ある一員として、わが国にふさわしい活動を行っていくべきと判断し、基本計画を閣議決定した。
参照> 資料46

 基本計画に示された派遣期間は当初1年間とされていたが、イラク情勢を踏まえ、わが国の主体的判断として、04(平成16)年12月、昨05(平成17)年12月と2度にわたり、1年ずつ派遣期間を延長するための基本計画の変更を行った。昨年12月の延長時には、あわせて、部隊の活動については以下の1)〜3)の諸事情等をよく見極めつつ、現地の復興の進展状況等を勘案して、適切に対応することとした。
1) イラクにおける政治プロセスの進展の状況
2) イラク治安部隊への治安権限移譲などの現地治安に係わる状況
3) 英軍および豪軍をはじめとする多国籍軍の活動状況および構成の変化

 この基本計画の変更に先立ち、同月3日に額賀防衛庁長官はイラクおよびクウェートを訪問し、現地で活動していた陸自第8次イラク復興支援群と空自派遣輸送航空隊の部隊視察を行った。この際、陸自部隊のサマーワ宿営地において、ハッサーニ・ムサンナー県知事および英、豪軍派遣部隊指揮官と懇談を行い、また、現地における学校の修復などの人道復興支援活動の状況を確認した。
 現在の基本計画の概要は、図表5-1-5のとおりである。
 
図表5-1-5 基本計画の概要
 
現地活動を視察する額賀防衛庁長官
 
現地学校を視察する額賀防衛庁長官と子供たち

 

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