第5章 国民と防衛庁・自衛隊 

海上自衛隊の先任伍長

 海上自衛隊は、規律、風紀の維持に関する体制の強化及び上級海曹の活動の推進を図るため、各部隊などに「先任伍長」(海曹長又は1等海曹の中の優れた者を選考)を配置する新たな取組を03(平成15)年4月から開始した。
 発足の背景として、近年、不審船への対応やインド洋への派遣など、これまで以上に部隊の即応性、精強性が求められるようになり、規律、風紀の維持、士気の高揚、融和団結について強化する必要性が生じたことがある。
 各部隊指揮官が1名の先任伍長を任命し、先任伍長には「部隊における海曹士の勤務指導ばかりでなく、特に若い隊員については健全な生活を親身に指導し、また、海曹士の士気の高揚及び融和団結の強化に関して指揮官等に意見を具申」する任務が与えられている。
 すなわち、先任伍長は海曹士の服務を指導するのみでなく、指揮官と個々の隊員との風通しを良くするという役割を担っている。
 また、昨年3月には、衛生部隊に初の女性先任伍長が誕生し、「職場の雰囲気、人間関係をより良くして、皆が同じ目標を持って仕事ができる環境づくりを目指していきたい。」と抱負を述べている。
 海外の軍隊での同様な取組としては、米軍、英国軍、オーストラリア軍、韓国軍などがあり、特に、米海軍では、下士官集団の活性化という観点で、上級下士官を技術のエキスパートとしてではなく、指揮官を強力に補佐する下士官群のまとめ役として活用するマスター・チーフ制度(Master Chief Program)があり、上級下士官が下士官兵の教育訓練、人事管理、福利厚生などに関し指揮官を直接補佐する体制が定着している。

 
部隊の海曹士に対して服務指導講話を行っている先任伍長

 
先任伍長識別章


 

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