防衛生産
9・技術基盤の充実強化
防衛産業は、わが国の安全保障の一翼を担う重要な産業である。したがって、「質の高い装備品を短期間で、安く、取得する」ためには、わが国において、装備品を設計・製造・維持する能力を持つ防衛生産・技術基盤を平素から確保しておくことが必要不可欠である。この基盤を維持することは、仮に海外から装備品を調達する場合にも、相手国との交渉力を確保し、出来る限りわが国に有利な条件で装備品を取得することを可能とする観点からも有効である。
欧米の防衛産業は、冷戦後の環境変化や技術革新に起因する変化に対応するため、事業の集約化や中核事業への集中投資を行い、生き残りを図ってきた。特に欧州諸国では、自国内の受注減や技術開発期間の短縮化に対応するために、国際的な共同開発や共同生産を積極的に行っている。
わが国においても、わが国一国のみでは必要とされるすべての軍事科学技術の分野において欧米の技術開発スピードに対応し、優れた装備品を開発・生産することは益々困難になってきている。
他方、わが国は、民生分野において世界でも先端的な性能を実現する技術力や高い信頼性の製品を製造する生産能力を有しており、これらの技術を既存の防衛技術と適切に組み合わせることやデュアルユース技術(両用技術)
10を活用していくことで、質の高い装備品を生み出す技術を確立していくことは可能である。
こうした状況を踏まえ、わが国において、「真に必要な防衛生産・技術基盤の確立」を図るべく、次の2点について検討することとしている。
1) 中長期的にわが国の安全保障上、中核となるものであり、防衛庁として重点を置いて維持・育成すべき生産基盤・技術基盤の分野の明確化(「選択と集中」)
2) 生産基盤・技術基盤を維持・育成する方策の確立