第4章 国際的な安全保障環境の改善のための主体的・積極的な取組 

自衛隊の任務における国際平和協力活動の位置付けの見直し

 前述のような考え方に従い、自衛隊は、国際平和協力活動に主体的・積極的に取り組み得るよう体制整備を進めていくこととしているが、その際、自衛隊の任務における国際平和協力活動の位置付けを適切なものとすることが必要である。
 自衛隊の本来任務は、自衛隊法第3条において「直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たる」ものとされており、国際平和協力活動は、いわゆる自衛隊の本来任務とはされていない。
 92(同4)年に国際平和協力法が制定された当初では、自衛隊による国連平和維持活動などへの取組は、わが国の防衛のために培ってきた自衛隊の技能、経験、組織的な機能を、平時において活用しようというものであった。
 このため、自衛隊法では、いわゆる自衛隊の本来任務の遂行に支障を生じない限度において、これら業務を行うという位置付けとされ、運動競技会に対する協力1などと同様に、自衛隊法上の第8章(雑則)に規定されている。その後、自衛隊の業務として追加された様々な国際平和協力活動についても同様に第8章(雑則)又は附則に規定されてきた。
 他方、ペルシャ湾に海自の掃海部隊を派遣して以降、自衛隊は、様々な国際平和協力活動に参加しており、確実に自衛隊による国際平和協力活動に対する国民の理解と期待が増大し、国際的な評価も高まってきている。
 こうした実績に加えて、新たな安全保障環境において、わが国の平和と安全をより確固たるものとするために、国際平和協力活動に積極的に取り組む必要があることから、新防衛大綱では、「国際平和協力活動に適切に取り組むため、・・・自衛隊の任務における同活動の適切な位置付けを含め所要の体制を整える。」こととされている。
 このように、国際平和協力活動を自衛隊の任務において適切に位置付けることは、わが国の国際平和のための取組を、国際社会に対して明確なメッセージとして伝えるとともに、国際平和協力活動を行う自衛隊員が、一層の自覚と誇りをもって職務に専念し得ることにつながるとの意義を有している。
 このため、防衛庁として自衛隊の任務における国際平和協力活動の位置付けの見直しに、積極的に取り組んでいく考えである。さらに、国際平和協力活動の位置付けの見直しに当たっては、自衛隊法第8章(雑則)又は附則に規定されている他の活動の中にも、国際平和協力活動と同様に、その位置付けについて見直すべきものがあるかについても、併せて検討する必要があると考えている。


 
1)日・韓ワールドカップ・サッカー大会における吹奏楽の演奏などがこれに当たる。


 

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