第4章 国際的な安全保障環境の改善のための主体的・積極的な取組 

日本の取組に対する評価

 わが国のイラクの国家再建に向けた取組に対して、イラク、その他海外から次のような評価や感謝が表明されており、現地の世論調査でも回答者の8割が支持を表明している。

(1)イラクにおける評価
 アッラーウィー・イラク首相は、昨年9月の日イラク首脳会談において、小泉総理に対し「日本が多国籍軍15の一員として活動してくれていることを感謝しており、先般、自分(アッラーウィー首相)がサマーワの有力部族長と会談した際、部族長は日本の自衛隊の活動に対し感謝の意を述べていた。日本と日本人は、イラクでは非常に尊敬されている。」と述べた。また、昨年10月の小泉総理に宛てた書簡において「現在派遣されている部隊は、イラク国民の人的ニーズ及び復興ニーズを支える上で不可欠な任務を遂行してきている。現行の日本部隊による貢献は、これから訪れるイラクの政治体制移行の重要な期間に必要となる勢いを維持する上で不可欠なものである。」と述べた。
 昨年12月9日の基本計画延長に際して、在京イラク大使館は、記者発表において「我々は、イラクでの自衛隊の任務を延長するという日本政府の勇気ある決定を歓迎する。今回の決定は、改めて、イラク国民が現状を克服するための日本の国民と政府の決意を示すものである。また、我々二国間の友好関係を反映するものである。イラク国民は、祖国を復興し、民主的な社会を再建するための努力を支援してくれる友人に対し、いつまでも感謝するであろう。」と述べた。また、ハッサーニ・ムサンナー県知事も「陸自の派遣延長を歓迎する。」と述べている。
 また、共同通信が本年1月に行ったサマーワなどの現地住民に対するアンケートでは、「日本政府の陸自の派遣延長の決定を支持しますか。」との問いに対し、78.3%の人々が「支持する。」と回答し、「陸自の活動に満足していますか。」との問いに対しては、61.8%の人々が「満足している。」と回答している。

(2)諸外国の評価
 ブッシュ米大統領は、昨年9月の日米首脳会談において、小泉総理に対し「日本のイラクやアフガニスタンにおける支援に感謝する。」との謝意を述べた。また、カンプ・オランダ国防大臣は、昨年11月の防衛庁で行われた日蘭防衛首脳会談において、大野防衛庁長官に対し「現地における活動では地元の信用を得ることが重要であり、そうした点も含め、自衛隊の人道復興支援活動を高く評価する。」と述べた。
 基本計画延長に際して、米国国務省は、記者会見において「1)米国は、日本が自衛隊イラク派遣を12か月間延長したことを温かく歓迎する。これまで同様イラクにおける復興及び人道支援において重要な貢献を行うものと考えている。2)我々は、イラク復興における日本のリーダーシップを高く評価している。」とコメントを述べた。また、英国のストロー外相は、記者発表において「日本政府のイラク派遣延長の決定を歓迎する。」と述べた。


 
15)昨年6月8日、安保理決議第1546号が全会一致で採択され、同年6月28日よりイラクが完全な主権を回復し、イラク暫定(ざんてい)政府の要請の下に多国籍軍が国際社会の総意を反映してイラク支援のため駐留するなど、国際協調体制が再構築されることとなり、また、多国籍軍の任務に人道復興支援活動が含まれることが明らかになった。政府は、わが国に、国際社会の責任ある一員として、引き続きイラク人道復興支援特措法に基づく活動を行うことが重要との考えから、同月18日に閣議了解された「イラクの主権回復後の自衛隊の人道復興支援活動等について」の中で自衛隊が多国籍軍の中で引き続き活動を行ってゆくことを明らかにした。


 

前の項目に戻る     次の項目に進む