第3章 新たな脅威や多様な事態への実効的な対応と本格的な侵略事態への備え |
災害派遣に従事した隊員の声(陸自)
第30普通科連隊 1等陸尉 後藤弘見
新潟県新発田(しばた)市に所在する第30普通科連隊は、第2普通科連隊(上越市)とともに、新潟県中越地震発生時、初動における被災者救助などに多大な貢献を果たしました。
中隊長として山古志村を担当し、村民の救助に当たった後藤1等陸尉に聞きました。
Q1:本任務に従事して良かった事について
日頃からヘリコプター部隊と我々普通科部隊との連携に力を入れて訓練しており、その成果が今回の活動で遺憾なく発揮できたことです。また、悪天候に妨げられることもなく、警察、消防、海・空自衛隊などのヘリコプターとも的確に任務分担ができ、山古志村の全村民避難が円滑に実施できたことは非常によかったと感じています。
Q2:本任務で苦労したことについて
苦労ではありませんが、「自衛隊さん有り難う。」という声を掛けて頂くたびに、被災者の皆さんのこの先の苦労の方がどれほど大変だろうと胸がつまり、我々が出来ることを一生懸命やらねばならないと感じました。
Q3:派遣時のエピソードについて
余震が続く地震翌日の夕刻、部下から無線で「被災者の心労は限界に達しつつあり、速やかな救援を求む!」と連絡が入りました。部下の声音から状況の過酷さがひしひしと伝わってきました。我々はすぐさま夜間救出を敢行することを決断しましたが、夜間のヘリ運用の安全を確保する必要から部下には「村民の協力を得つつ、ヘリポートを可能な限り明るくせよ、懐中電灯でも自動車のヘッドライトでも何でもいいから使えるものは何でも使え!」と指示を飛ばし、必要な準備をさせ、ヘリによる夜間救出を事故なく行うことができました。ヘリに搭乗した村民の皆さんの安堵した表情が非常に印象に残っています。