第3章 新たな脅威や多様な事態への実効的な対応と本格的な侵略事態への備え 

緊急発進(スクランブル)に備える隊員の声

 北海道千歳市に所在する第2航空団第203飛行隊でF-15戦闘機操縦士として勤務する亀井1等空尉に、緊急発進(スクランブル)について聞きました。

第203飛行隊 1等空尉 亀井一哲

 
第203飛行隊 亀井1等空尉

 対領空侵犯措置のための警戒待機(いわゆるスクランブル待機)は、1日24時間1年365日休む事なく行われており、私も編隊長としてこの待機に就きます。
 スクランブルは、昼夜を問わず命ぜられるため、待機に就いている間は、任務に対する高い緊張感と使命感を長時間保ち続けなければなりません。そして、いざスクランブルが下令されたならば、わが国の領空に接近する航空機に1秒でも早く対応するため一目散に操縦席に乗り込みます。スクランブルでは、対処を誤ると国家間の問題に発展する可能性もあり、普段から十分な訓練を積んできているという自負はあるものの、千変万化する状況の中で適時適切な対応が取れるか、ということについては日々自問しています。
 初めて他国の航空機を実際に目の当たりにしたときは、非常に緊張したのと同時に、空を守る者としての強い使命感を自覚しました。私は、この時の経験から、常に平常心を持って任務を遂行できる強い精神力のかん養を目標として日々の訓練に取り組んでいます。
 夜間、任務を終えて飛行場に帰投する際などは、任務を遂行した安堵感と充実感を感じますが、私がこの任務に従事して一番良かったと思うことは、地上にあっては、ともすれば概念的になりがちな国土、領土というものを上空から実際に目にしながら、領空侵犯機に対処することにより、自衛官としての国防に対する責任をより強く自覚できたことです。

 

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