第2章 わが国の防衛政策の基本と新防衛大綱、新中期防など 

装備・技術面での交流

 日米両国は、日米安保条約において、それぞれの防衛能力の維持、発展のために相互に協力するとしている。また、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定」は、それぞれの政府が、他方の政府に対し、装備、資材、役務その他の援助を供与することができることを規定するなど両国間の防衛分野における相互協力のための枠組みを定めている。わが国としても、こうした相互協力の原則を踏まえ、わが国の技術基盤・生産基盤の維持に留意しつつ、米国との装備・技術面に関する協力を積極的に進める必要がある。
 わが国は、日米技術協力体制の進展と技術水準の向上などの状況を踏まえ、83(昭和58)年、対米武器技術供与取極(とりきめ)21を締結し、米国に対しては、武器輸出三原則等によらず武器技術を供与することとした。以来、携行SAM:Surface to Air Missile関連技術などを皮切りに、弾道ミサイル防衛共同技術研究に関連する武器技術など14件の武器技術の対米供与を決定している。
 また、日米両国は、装備・技術問題についての意見交換の場である日米装備・技術定期協議(S&TF:Systems and Technology Forum)などで協議を行い、そこで合意された具体的なプロジェクトについて日米共同研究・改修を行っている。92(平成4)年以降、これまで12件の共同プロジェクトに関する政府間取極(とりきめ)を締結して共同研究などを行っており、内7件は既にプロジェクトを終了している。また、03(同15)年5月に、日米の防衛当局間で実施する「科学技術者交流計画」22ESEP:Engineers and Scientists Exchange Program)に関する政府間取極を締結し、同年8月にレーザー技術の専門家、本年3月には弾薬技術の専門家、それぞれ1名の技官を米国に派遣した。日米間での装備・技術協力は、日米両国にとって、インターオペラビリティの向上や、研究開発コストとリスクの低減などの意義があり、日米両国は今後の協力の拡大についても検討を行っている。

 
日米共同研究プロジェクト


 
21)正式名称は「日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定に基づくアメリカ合衆国に対する武器技術の供与に関する交換公文」

 
22)科学技術者交流計画(ESEP)とは、日米防衛当局間で一定期間自らの研究所に相手方科学技術者を受け入れて、自らの研究者との共同研究活動に従事させる計画


 

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