第2章 わが国の防衛政策の基本と新防衛大綱、新中期防など 

憲法調査会の報告書

 日本国憲法について広範かつ総合的に調査を行うため、00(平成12)年1月に、衆参両院に憲法調査会が設置され、おおむね5年程度を目途とする調査期間が申し合わされた。
 本年で設置から5年が経過したことから、衆参両院の憲法調査会は、本年4月に衆議院議長と参議院議長にそれぞれ報告書を提出した。
 その中では、安全保障に係る分野である第9条、自衛権と自衛隊、国際協力などについても記述されている。
 衆議院の報告書においては、第9条に対する評価として、これまでわが国の平和や繁栄に果たしてきた役割を評価する意見が多く述べられ、少なくとも同条第1項の戦争放棄の理念を堅持し、平和主義を今後も維持すべきであるとの意見が多く述べられたとしている。
 自衛権については、自衛権の行使として必要最小限度の武力の行使を認める意見が多く述べられたとしているとともに、自衛権及び自衛隊について何らかの憲法上の措置をとることを否定しない意見が多く述べられたとしている。
 集団的自衛権の行使の是非については、これを認めるべきであるとしつつその行使の限度に言及しない意見、これを認めるべきであるとしつつその行使に限度を設けるべきであるとする意見とこれを認めるべきではないとする意見にほぼ三分されたとしている。
 国際協力の推進については、わが国が今後とも積極的に国際協力を行うべきであるとすることについては、概ね共通の理解があったが、わが国がどのような国際協力を行うべきであるのかについては、多様な意見が述べられたとしている。
 参議院の報告書においては、1)第9条第1項の維持 2)わが国が独立国家として個別的自衛権を有する 3)自衛のための必要最小限度の組織の必要性 について、概ね共通の認識があったとしている。
 また、1)戦力及び交戦権の否認を定める第9条第2項の改正の要否 2)集団的自衛権を認めることの是非 3)自衛のための必要最少限度の組織の憲法上の明記 4)国際貢献の憲法上の明記 については意見が分かれたとしている。

 

前の項目に戻る     次の項目に進む