第2章 わが国の防衛政策の基本と新防衛大綱、新中期防など 

弾道ミサイル防衛と自衛権

Q:自衛隊が飛来する弾道ミサイルを破壊する行為は、自衛権の発動と考えて良いのですか。

A:わが国の自衛権の発動については、本文で述べたように自衛権発動の3要件に該当する場合に限られ、こうした要件を満たすと認められる場合には、相手国に対して武力の行使を行うことができます。
 したがって、わが国に弾道ミサイルが飛来し、それが武力攻撃である場合には、自衛隊は、武力攻撃事態における防衛出動の枠組で、自衛権を行使して弾道ミサイルに対処することになります。
 しかしながら、武力攻撃事態の認定は、国際情勢などを踏まえて行われるものであり、弾道ミサイルが飛来するおそれがある場合又は現に飛来した場合であっても、その意図や目的が特定できないなど、武力攻撃事態であると判断できない場合があり得ます。
 このように武力攻撃事態に認定されていない状況において、わが国に弾道ミサイルなどが飛来した場合には、自衛隊は、自衛隊法第82条の2に基づき、弾道ミサイルなどの破壊措置を講ずることになります。
 この破壊措置は、それ自体自衛権の発動として行うものではありませんが、国民の生命・財産に対する被害を防衛するためには、破壊する以外に方法はなく、わが国として必要かつ当然の措置と考えられるものです。

 

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