日米共同技術研究
98(同10)年政府は、安全保障会議の了承を経て、平成11年度から海上配備型上層システム(現在の海上配備型ミッドコース防衛システム)の日米共同技術研究に着手することを決定した。なお、その際、
BMDに関する日米共同技術研究に対する政府の考え方について、官房長官談話が発表された
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その後、共同技術研究の開始に向けて米国との調整が行われ、99(同11)年に政府は、
BMDにかかわる日米共同技術研究に関する書簡を外務大臣と駐日米国大使との間で交換することを閣議決定した。これを受けて、防衛庁と米国防省との間で了解覚書が締結され、共同技術研究が開始された。この共同技術研究は、海上配備型ミッドコース防衛システムの要撃ミサイルに関して、日米が共同して設計、試作及び必要な試験を行うものであり、現在、ミサイルの主要な4つの構成品(ノーズコーン、第2段ロケットモータ、キネティック弾頭、赤外線シーカ)に関する設計、試作及び必要な試験を行っている。このために必要な経費として平成11年度から平成15年度まで計約156億円を計上した。なお、平成16年度予算においては試験に伴う経費として約76億円を計上している。
なお、共同技術研究の対象となっているシステムは、02(同14)年12月に米国がその初期配備を決定し、また、政府として今般導入を決定した海上配備型システムとは異なり、さらに将来の、より高い能力を目指したシステムである。したがって、共同技術研究は、現在と将来における弾道ミサイル攻撃への対応に万全を期すため、引き続き推進していく必要がある。なお、開発段階への移行、配備段階への移行については、98(同10)年及び昨年の官房長官談話にあるとおり、別途判断を行うこととされている。