第6章 今後の防衛庁・自衛隊のあり方 

第1節 防衛力のあり方

1 検討の意義と検討状況

 防衛政策は「国を守る」という国家の根本政策であり、その実効性を確保していくためには、防衛力のあり方について、その時々の状況に応じて不断に見直しを行うことが必要である。その際、防衛力は、侵略を排除する国家の意思と能力を表わすものとして、侵略を未然に防止し、万一侵略を受けた場合、これを排除する機能を有し、このような機能は他のいかなる手段によっても代替し得ない国の安全保障の最終的な担保となっていることを踏まえて、わが国の国益の観点から、安全保障面・防衛面におけるわが国のあるべき姿、それを効果的に実現するための自衛隊の体制改革の方策、日米防衛協力のあり方などを考えることが重要である。
 このような考え方の下、防衛庁においては、防衛力のあり方について十分な検討を行うため、01(平成13)年9月、「防衛力の在り方検討会議」を設置して、検討を開始し、国家安全保障における防衛機能として真に21世紀のわが国に相応しい防衛力の創造を目指すという観点から、幅広い問題を取り上げ、新たな発想やアイディアを重視しつつ、庁内における議論を精力的に重ねてきている。
 さらに、このような防衛庁における検討状況も踏まえ、政府としても、昨年12月19日に「弾道ミサイル防衛システムの整備等について」1を安全保障会議と閣議で決定し、その中で新たな安全保障環境を踏まえ、「我が国の防衛力の見直し」という項目を設けて、その見直しの方向性を示している2
 これに加えて、本年4月、今後のわが国の安全保障と防衛力のあり方に関する政府全体としての取組について、幅広い観点から総合的な検討を行うため、小泉総理の下に安全保障、経済などの有識者から意見を聴取することを目的とした「安全保障と防衛力に関する懇談会」が設置され、活発な議論が行われている。



 
1)資料61参照。

 
2)本節3参照。


 

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