第5章 国民と防衛庁・自衛隊 


解説 防衛庁・自衛隊による南極地域観測への支援

 わが国の南極地域観測は、56(昭和31)年から、海上保安庁の観測船「宗谷」による輸送・観測支援の下、開始された。翌年に昭和基地が開設され、これまでにオゾン層の破壊や気候変動メカニズムなど地球環境に関するものをはじめとする様々な調査研究が行われた。63(同38)年8月の閣議において、南極地域観測支援は防衛庁が担当することが決定され、海自は昭和40年度第7次南極地域観測以降、毎年度砕氷艦による物資の輸送・観測支援を行っている。
 
砕氷艦「ふじ」(手前)と「しらせ」
 
砕氷艦「ふじ」と「しらせ」の活動実績 砕氷艦「ふじ」と「しらせ」の主要要目

 現在支援を行っている砕氷艦「しらせ」は82(同57)年に就役し、「ふじ」の18年間の任務に引き続き、翌83(同58)年の第25次南極地域観測支援から任務を開始し、21年目を迎えている。この「しらせ」の名称は、日本初の南極探検隊隊長白瀬中尉の功績を称えて名付けられた昭和基地近くの白瀬氷河に由来する。
 
氷海を航行中の「しらせ」

 これまでの南極地域観測への支援に加え、85(同60)年には、南極付近において氷海に閉じこめられたオーストラリアの観測船「ネラ・ダン」号を、99(平成11)年には同じく「オーロラ・オーストラリス」 号を同国政府の要請に基づき救出した。また、昨年には、日豪間のヨットレースに参加したオーストラリアのヨットの乗組員を救助した。
 
南緯40度から60度にかけて続く荒天の様子(左)と艦首にかかる波の様子(右)


 

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